- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 新型コロナで住宅市場は更に減速、ホテル・商業は厳しさを増す-不動産クォータリー・レビュー2020年第2四半期
2020年08月13日
(3) 商業施設・ホテル・物流施設
商業セクターにおけるコロナ禍の影響はテナントの業態によって明暗が分かれている。商業動態統計などによると、2020年4-6月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が▲49.9%、スーパーが+2.8%、コンビニエンスストアが▲8.6%となった(図表-12)。スーパーは日用品需要や巣ごもり消費が堅調な一方、百貨店は免税店売上の急減や外出自粛の影響などから4月が▲71.1%、5月が▲63.6%と大幅なマイナスとなった。コンビニエンスストアもオフィス街を中心に都心部の来店客数が減少している。また、シービーアールイー(CBRE)によると、訪日客数減少の影響などから、これまで市場を牽引してきたドラッグストアの出店需要がなくなり、心斎橋(大阪)や栄(名古屋)のプライム賃料(20年第2四半期)が下落となった。
商業セクターにおけるコロナ禍の影響はテナントの業態によって明暗が分かれている。商業動態統計などによると、2020年4-6月の小売販売額(既存店、前年同期比)は百貨店が▲49.9%、スーパーが+2.8%、コンビニエンスストアが▲8.6%となった(図表-12)。スーパーは日用品需要や巣ごもり消費が堅調な一方、百貨店は免税店売上の急減や外出自粛の影響などから4月が▲71.1%、5月が▲63.6%と大幅なマイナスとなった。コンビニエンスストアもオフィス街を中心に都心部の来店客数が減少している。また、シービーアールイー(CBRE)によると、訪日客数減少の影響などから、これまで市場を牽引してきたドラッグストアの出店需要がなくなり、心斎橋(大阪)や栄(名古屋)のプライム賃料(20年第2四半期)が下落となった。
ホテルセクターは、コロナ禍によるダメージが極めて大きいが、一段とその厳しさを増している。2020年4-6月累計の訪日外国人客数は前年同期比▲99.9%の約7千人となった(図表-13)。また、宿泊旅行統計調査によると、2020年4-6月の延べ宿泊者数は前年同期比▲78.8%減少し、このうち外国人が▲98.3%、日本人が▲73.6%となった(図表-14)。STR社によると、全国のホテル稼働率(6月)は24.0%、平均客室単価(ADR)は前年同月比で▲36.8%下落した。入国規制が厳格化され、国内においても人の移動自粛が要請されるなか、ホテルの宿泊需要はほぼ蒸発し、ホテルオペレータの倒産が相次ぐなど予断を許さない状況が続いている。
4. J -REIT(不動産投信)市場・不動産投資市場
2020年第2四半期の東証REIT指数(配当除き)は3月末比+4.5%上昇した。金融市場の落ち着きを受けて反発に転じたものの、TOPIX(+11.1%)の上昇と比べて戻りは鈍く、これで株式市場に対して3四半期連続でアンダーパフォームする結果となった。セクター別では、商業・物流等が+15.5%、住宅が+5.2%上昇した一方で、オフィスが▲4.1%下落した(図表-16)。6月末時点のバリュエーションは、純資産10.4兆円に保有物件の含み益3.9兆円を加えた14.3兆円に対して時価総額は13.0兆円でNAV倍率は0.9倍、分配金利回りは4.4%、10年国債利回りとのスプレッドは4.4%となっている。
不動産売買市場では、コロナ禍により売買交渉が停滞して様子見の状態となっている。日経不動産マーケット情報(2020年8月号)によると、2020年第2四半期の取引額は3,967億円(前年同期比▲59%)となり、第2四半期としては2011年の東日本大震災直後に次いで小さい金額となった。一方で、ジョーンズ ラング ラサール社の調査によると、コロナ禍を踏まえた投資スタンスについて、67%の投資家が「価格調整があれば新規投資を積極的に行う」と回答するなど、投資家の物件取得意欲は衰えていない模様である。今後については、極めて不透明な市場環境が想定されるなか、新型コロナに対する政策対応や景気回復のスピード、オフィス需要の動向、金融機関の貸出姿勢、リスクマネーの動向などについて注視が必要である。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
(2020年08月13日「不動産投資レポート」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/23-4/26発行分】 -
2024年04月26日
ドイツの産業空洞化リスク-グローバル化逆回転はドイツへの逆風、日本への追い風か?- -
2024年04月26日
米GDP(24年1-3月期)-前期比年率+1.6%と前期から低下、市場予想の+2.5%も大幅に下回る -
2024年04月26日
滞留するふるさと納税 -
2024年04月26日
EUのDMA関連調査開始決定-GAFAそれぞれの問題を指摘
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【新型コロナで住宅市場は更に減速、ホテル・商業は厳しさを増す-不動産クォータリー・レビュー2020年第2四半期】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
新型コロナで住宅市場は更に減速、ホテル・商業は厳しさを増す-不動産クォータリー・レビュー2020年第2四半期のレポート Topへ