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- ドイツの産業空洞化リスク-グローバル化逆回転はドイツへの逆風、日本への追い風か?-
2024年04月26日
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■要旨
- 日独のGDP逆転は続く見通しだが、足もとのドイツ経済は、目下、東西統一後で2度目となる深刻な産業空洞化リスクに直面している。
- 1度目は、1990年代から2000年代前半、冷戦終結で加速した非西側を巻き込むグローバル化、欧州統合の拡大と深化が背景だった。ドイツは、構造調整と欧州統合、非西側との関係強化でリスクを回避した。
- 2000年代以降、ドイツの投資、輸出は日本より力強く、直接投資のバランスもとれていた。パフォーマンスの違いは経常収支構造の違いとしても表れている。
- 足もとのドイツの産業空洞化リスクはグローバル経済の断片化、グローバル化の逆回転を背景とする。ロシア産ガス供給の停止で化学産業が大きな打撃を受け、北米への生産移管で複雑なバリューチェーンが破壊されるとの危機意識が広がる。
- 産業界は3党連立政権の一貫性を欠く政策、過剰な負担、中国ビジネスへの政府の介入に不満を抱く。空洞化に歯止めをかけるために必要とされるのは適切な政策の下での構造調整と欧州統合の強化であろう。
- 日本にとっても、グローバル化の逆回転は、一部に恩恵をもたらす可能性はあるが、全体で見れば、追い風とはならない。グローバル化の逆回転に適応し、国内経済の持続可能性を高めるために、ドイツ同様に構造問題への取り組みが必要である。自由で開かれた国際秩序の維持・強化に尽力することが重要である、
■目次
・IMFは最新予測でも日独GDP逆転持続を予想
・グローバル化加速期の産業空洞化リスクは構造調整、欧州統合、非西側との関係強化で回避
・2000年代以降のドイツの投資・輸出は日本よりも力強く、直接投資のバランスもとれていた
・日独間のパフォーマンスの違いは経常収支黒字の構造にも表れている
・デジタル赤字の拡大はドイツでも
・グローバル化逆回転期のドイツの産業空洞化懸念
・募る産業界の経済政策への不満
・ドイツの産業空洞化に歯止めを掛けるために必要とされる構造調整と欧州統合の強化
・日本では一部に断片化の追い風も観察。環境変化への適応には構造問題への取り組みが必要
・自由で開かれた国際秩序の維持・強化に尽力することが重要
・IMFは最新予測でも日独GDP逆転持続を予想
・グローバル化加速期の産業空洞化リスクは構造調整、欧州統合、非西側との関係強化で回避
・2000年代以降のドイツの投資・輸出は日本よりも力強く、直接投資のバランスもとれていた
・日独間のパフォーマンスの違いは経常収支黒字の構造にも表れている
・デジタル赤字の拡大はドイツでも
・グローバル化逆回転期のドイツの産業空洞化懸念
・募る産業界の経済政策への不満
・ドイツの産業空洞化に歯止めを掛けるために必要とされる構造調整と欧州統合の強化
・日本では一部に断片化の追い風も観察。環境変化への適応には構造問題への取り組みが必要
・自由で開かれた国際秩序の維持・強化に尽力することが重要
(2024年04月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
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