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- 【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(2月号)~石油関連の商品・サービスを中心に上昇
2017年02月23日
インドネシアの17年1月のCPI上昇率は前年同月比3.49%増(前月:同3.02%増)と上昇した(図表2)。1月のCPI上昇率は車両登録料の引上げや電力補助金の削減の影響で上昇したものの、概ね3%台前半の落ち着いた水準を維持した。
主要品目別に見ると、輸送・通信・金融は同2.76%増(前月:同0.72%減)と、自動車・二輪車を購入・所有する場合に必要な車両登録証や車両所有証明書などの発行手数料の引上げを受けて上昇し、10ヵ月ぶりのプラスに転じた。また住宅・電気・ガス・燃料は同2.47%増(前月:1.90%増)と、1月から始まった契約容量900VAの家庭向けの段階的な電力補助金の撤廃を受けて上昇した。一方、食材が同4.11%増と、クリスマスや正月で消費需要が高かった前月の同5.69%増から低下した。
食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同3.35%増(前月:同3.07%増)と、昨年から緩やかな低下傾向が続いたが、1月は上昇に転じた。
2月15-16日に開かれた中央銀行の理事会(金融政策会合)では、中央銀行は2017年のインフレ率がインフレ目標の範囲内(4±1%)で推移するとした。なお、政策金利については、米国の政策の方向性や欧州の政治リスク、政府統制価格の上昇リスクなどを警戒して据え置いた。
タイの17年1月のCPI上昇率は前年同月比1.55%増(前月:同1.13%増)と、2014年9月ぶりの1%台半ばまで上昇した(図表3)。CPI上昇率は16年以降、原油価格の上昇を背景に緩やかな上昇傾向が続いている。
主要品目別に見ると、輸送・通信が同4.76%増(前月:同3.01%増)とガソリン価格の値上げを受けて一段と上昇した。また食品・飲料は同1.53%増(前月:同1.36%増)と、野菜・果物の再び価格上昇に転じて小幅に上昇した。このほか、住宅・家具は同1.26%減と引き続き低迷し、たばこ・酒類は同12.97%増と昨年2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いた。
コアCPI上昇率(生鮮食品とエネルギー除く)は同0.75%増(前月:同0.74%増)と若干上昇したものの、概ね1%を下回る水準で安定している。
CPI上昇率は、タイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)まで上昇したが、その要因は生鮮食品とエネルギー価格によるものであり、依然として景気の回復力は緩慢であることが分かる。中央銀行は17年のインフレ率が1.5%と緩やかな上昇に止まり、物価目標の下方で推移すると予測している。なお、2月8日に開かれた金融政策委員会(MPC)では、金利上昇は続いているものの、現状の緩和的な金融政策が景気回復を促すとし、政策金利を据え置いた。
マレーシアの17年1月のCPI上昇率は前年同月比3.2%増と、前月(同1.8%増)から上昇した(図表4)。CPI上昇率の基調としては、昨年3月~7月にかけて景気減速やGST(物品・サービス税)導入による物価押上げ効果の剥落により低下した後、ガソリン価格の値上げを受けて上昇傾向にある。
主要品目別に見ると、輸送は同8.3%増(前月:同0.6%減)と、ガソリン価格の値上げによって大きく上昇してプラスに転じた。また食品・飲料は同4.0%増(前月:同3.7%増)と、小幅に上昇した。食品・飲料の内訳を見ると、昨年11月の食用油向け補助金廃止の影響を受けた油脂(同37.9%増)の高騰が続いているほか、野菜(同7.8%増)や海産物(同6.1%増)の上昇も全体を押し上げた。一方、住宅・光熱は同1.9%増(前月:同2.1%増)と低下した。
食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.3%増(前月:同2.1%増)と小幅に上昇したものの、概ね2%台前半の安定した推移が続いている。
なお、政府は昨年10月に,2017年のインフレ見通しを+2.0~3.0%と発表している。
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- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
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