2017年02月10日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(2月号)~2ヵ月連続の二桁増を記録

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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16年12月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て通関ベース)は前年同月比10.6%増と、前月の同11.4%増から小幅に低下した(図表1)。輸出は16年初から原油価格の底打ちや海外需要の緩やかな回復によって持ち直しに転じ、年末には一段と加速して2ヵ月連続の二桁増を記録した。もっとも輸出の伸び率は振れ幅が大きく、先行きは緩やかな伸びに落ち着いていくものと予想される。

なお、仕向け地別の輸出動向を見ると、東アジア・東南アジア向けや欧州向けが足元で堅調に増加する一方、年前半に大きく増加した米国向けが伸び悩んできている(図表2)。
(図表1)ASEAN6ヵ国合計の輸出の伸び率(国別寄与度)/(図表2)ASEAN5ヵ国仕向け地別の輸出動向
タイの16年12月の輸出額は前年同月比6.2%増と、前月の同10.2%増から低下したものの、高めの伸びを維持して2ヵ月連続のプラスとなった。16年以降、輸出の伸びは上下に大きく振れているものの、金額ベースでは緩やかな増加傾向が続いている。一方、輸入額は前年同月比10.3%増と、前月の同3.0%増から上昇した。結果、貿易収支は9.4億ドルの黒字(前月から6.1億ドル縮小)と、20ヵ月連続の黒字となった(図表3)。

輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同5.4%増と、前月の同9.8%増から低下したものの、2ヵ月連続のプラスとなった(図表4)。工業製品の内訳を見ると、機械・装置(同6.9%減)が落ち込む一方、石油化学製品(7.9%増)や家電製品(同7.5%増)、電子製品・部品(同3.1%増)、自動車・部品(同2.2%増)など幅広い品目が増加した。また農産品・加工品も同7.0%増と、前月の同12.2%増から低下したものの、ゴム(同36.2%増)やゴム製品(20.6%増)を中心に増加した。さらに、鉱業・燃料は同19.4%増(前月:同9.4%増)と、石油製品を中心に一段と上昇した。
(図表3)タイの貿易収支/(図表4)タイ輸出の伸び率(品目別)
マレーシアの16年12月の輸出額は前年同月比6.2%増と、前月の同7.5%増から低下したものの、高めの伸びを維持して2ヵ月連続のプラスとなった。輸出の伸び率は16年初に資源価格が上昇に転じてから緩やかに持ち直し、足元では底打ちの動きがみられる。一方、輸入額は前年同月比7.1%増と、前月の同10.8%増から低下した。結果、貿易収支は19.6億ドルの黒字と、前月から1.3億ドル黒字が縮小した(図表5)。

輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同2.0%増(前月:同13.5%増)と主力の電気・電子製品を中心に低下した(図表6)。また動植物性油脂は同15.7%増と、価格が上昇したパーム油・同製品を中心に2ヵ月連続の二桁増となったものの、前月の同27.6%増から鈍化した。一方、鉱物性燃料は同22.1%増(前月:同13.2%減)と、価格上昇に加えて数量ベースの増加も追い風となって大きく上昇し、2014年7月以来のプラスを記録した。なお、製造品は同3.9%減と、ゴム手袋(同8.2%増)が増加した一方でアパレル(同4.7%減)が減少し、前月(同4.0%減)から横ばいとなった。
(図表5)マレーシア貿易収支/(図表6)マレーシア輸出の伸び率(品目別)
インドネシアの16年12月の輸出額は前年同月比15.6%増と、前月の同21.4%増から低下したものの、2ヵ月連続の二桁増を記録した。輸出は16年前半から資源価格の反転上昇を受けて緩やかに底入れに向かい、年後半は非石油ガスの価格と数量が揃って増加して急伸した。一方、輸入額は前年同月比6.9%減(前月:同3.3%増)と、8ヵ月ぶりのマイナスに転じた。結果、貿易収支は9.9億ドルの黒字と、前月から1.6億ドル黒字が拡大した(図表7)。

輸出を品目別に見ると、全体の7割を占める製造品が同50.8%増(前月:同26.0%増)とパーム油を中心に一段と上昇した(図表8)。また鉱業製品は同27.5%増と、前月の同50.1%増から低下したものの、引き続き高水準を記録した。一方、農産品は同83.6%減と、前月(同25.1%増)から大きく低下し、4ヵ月ぶりのマイナスに転じた。また石油ガスは同5.2%減(前月:同26.3%減)と、マイナス幅こそ縮小したものの、依然として停滞している。
(図表7)インドネシアの貿易収支/(図表8)インドネシア輸出の伸び率(品目別)

(2017年02月10日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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