2024年09月19日

米住宅着工・許可件数(24年8月)-着工件数は前月、市場予想を上回る。住宅ローン金利の低下が住宅需要に追い風

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を上回る

9月18日、米国センサス局は8月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は135.6万件(前月改定値:123.7万件)と123.8万件から小幅下方修正された前月を上回ったほか、市場予想の131.8万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は147.5万件(前月改定値:140.6万件)と139.6万件から上方修正された前月、市場予想の141.0万件も上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建て着工件数が6ヵ月ぶりに回復

住宅着工件数の伸びは前月比+9.6%(前月:▲6.9%)と前月からプラスに転じた(図表3)。集合住宅が▲4.2%(前月:+9.8%)と前月からマイナスに転じた一方、戸建てが+15.8%(前月:▲12.8%)と6ヵ月ぶりにプラスに転じて着工件数全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比は+3.9%(前月:▲16.0%)と2桁の落ち込みとなった前月からプラスに転じた。内訳をみると、戸建てが+5.2%(前月:▲14.2%)、集合住宅が+0.6%(前月:▲19.8%)といずれも前月からプラスに転じた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲3.6%ポイント(前月:+3.1%ポイント)と前月からマイナスに転じた一方、中西部が+3.8%ポイント(前月:▲0.9%ポイント)、南部が+8.1%ポイント(前月:▲7.6%ポイント)といずれも前月からプラスに転じたほか、西部も+1.3%ポイント(前月:▲1.5%ポイント)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた。当月はとくに南部の増加幅が大きくなっているが、ハリケーン・ベリルの影響で7月に大きく落ち込んだ反動とみられる。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が+4.9%(前月:▲3.3%)と前月からプラスに転じた(図表5)。戸建てが+2.8%(前月:+0.2%)と前月からプラス幅が拡大したほか、集合住宅が+9.2%(前月:▲9.7%)とプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は▲6.5%(前月:▲6.3%)と7ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲0.5%(前月:▲1.3%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、マイナス幅が拡大したことに加え、集合住宅が▲16.2%(前月:▲15.1%)と18ヵ月連続のマイナスとなるなど悪化傾向が続いている。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、9月が41(前月:39)と5ヵ月ぶりに改善し、市場予想(41)に一致した(図表7)。

内訳は販売現況が45(前月:44)、販売見込みが53(前月:49)、客足が27(前月:25)とそれぞれ前月から改善した。とくに、販売見込みの改善幅が大きくなっており、建設業者の回復期待が高まっている状況を示した。

NAHBのカール・ハリス会長は「金利低下のおかげで、住宅建設業者は24年5月以来初めて、将来の新築住宅販売について前向きな見通しをもっている」と述べており、住宅ローン金利の低下に伴う今後の住宅市場の回復に期待を示した。実際に、足元の住宅ローン金利は30年固定で6.3%と23年4月以来の水準に低下しており、住宅需要には追い風になっている。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年09月19日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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