2015年03月06日

Jリート市場は3年連続で大幅高。オフィス市場は需要の拡大が継続-不動産クォータリー・レビュー2014年第4四半期

金融研究部 主任研究員   岩佐 浩人

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2期連続でのマイナス成長を受けて、政府は2015年の消費増税を延期し、日銀は追加の金融緩和を決定した。住宅市場では新設着工の減少など冷え込みが続く一方、地価の上昇は3大都市圏から地方圏に広がっている。賃貸市場はオフィスを中心に需要が拡大し、J-REIT市場は3年連続で大幅高となった。


1―経済動向と住宅市場

前期までの実質GDP成長率が予想外の2期連続マイナスとなり、政府は2015年10月の消費税引き上げを延期し、日銀は追加の金融緩和を決定した。足もとでは企業の生産活動が輸出を中心に回復し、雇用指標も着実な改善を示している。2014年12月の完全失業率は前月比0.1%低下の3.4%、有効求人倍率は1.15倍と約23年ぶりの高い水準となった[図表1]。
   一方、住宅市場は新設着工、販売、取引ともに冷え込みが続く。2014年の新設住宅着工戸数は、4月の消費増税の影響から持ち家を中心に減少し、前年比▲9.0%の約89.2万戸と5年ぶりに減少した[図表2]。
   2014年の首都圏のマンション新規発売戸数は前年比▲20.5%の44,913戸となり3年ぶりに減少した。また、2014年の首都圏中古マンションの成約件数は、前年比▲7.2%の3万3,798件に減少した。
   今後は、フラット35Sの金利引下げや住宅エコポイント制度の復活、贈与税の非課税枠拡大などの政策支援によって、住宅市場がどの程度まで回復するか注目される。




2―地価動向

金融緩和などを背景に商業用不動産への投資意欲は強く、利便性の高い地区ではマンション需要が拡大し、地価の上昇は3大都市圏から地方圏へと広がっている。
   国土交通省の「地価LOOKレポート(平成26年第3四半期)」によると、前期から上昇した地区の比率は、東京圏で89%、大阪圏で77%、名古屋圏で100%、地方圏で69%、全体で83%となり、下落地区は調査以来はじめてゼロとなった[図表3]。
   野村不動産アーバンネットによると、2015年1月1日時点の首都圏住宅地価格は、7四半期連続プラスの前期比0.9%の上昇となった。




3―不動産賃貸市場の動向

1│オフィス

東京のオフィス市場は、需要が拡大し空室率が大きく低下している。三幸エステートによると、2014年12月末の都心5区空室率(大規模ビル)は、5年ぶりの3%台となる3.99%(前期は4.51%)に低下した。
   成約賃料データに基づくオフィスレント・インデックス(第4四半期)は、Aクラスビルが2期連続上昇し前期比0.8%の30,573円となった[図表4]。競争力の高いビルとそうでないビルとの間で回復の勢いに差が見られるものの、オフィス賃料は総じて上昇局面にある。森ビルの調査によると、2015年の東京23区大規模ビルの供給量は前年比26%増加する見通しである。供給を上回る需要が生まれるかどうか、今後の需給バランスが注目される。




2|賃貸マンション

東京都区部の中古マンション賃料(12月末)は、ワンルームが前年比1.3%、ディンクスタイプが0.8%、ファミリータイプが0.1%上昇し、緩やかな上昇局面にある。東京都心部の高級賃貸マンションについても、空室率の低下に伴い賃料が上昇し12月末は前年比10.8%上昇した[図表5]。




3│商業施設・ホテル・物流施設

商業販売統計によると、2014年は、株高による資産効果や外国人向けの免税品売上が好調な百貨店が2.0%増と3年連続でプラスとなり、スーパー、コンビニエンスストアもそれぞれ0.3%、0.7%とプラスに転じた(いずれも既存店ベース)。
   全国61都市のホテル客室稼働率(12月)は、前年比2.3%上昇の75.4%となり、年間を通じても高稼働を維持している。2014年の訪日外国人客数は、円安や東南アジアのビザ発給要件の大幅緩和、消費税免税制度の拡充、訪日プロモーションなどを背景に、前年比29%増の1,341万人となり2年連続で過去最高を更新した。国・エリア別にみると、台湾、韓国、中国の順に多く全体の60%を占め、前年からの増加率では中国からの訪日数が83%増加した[図表6]。2014年の訪日外国人の旅行消費額は前年比43%増加の約2兆円となり、国内消費を下支えしている。
   首都圏大型物流施設の第4四半期空室率は前期比1.1%低下の3.8%、近畿圏は前期比横ばいの0.4%となった[図表7]。企業の物流機能の効率化や電子商取引の拡大などを背景に、先進的物流施設に対する需要は旺盛で空室率は低位で安定している。




4│J-REIT市場(不動産投信)

第4四半期の東証REIT指数は、長期金利の低下や円安・株高の流れを好感し、9月末比13.6%上昇した。12月末時点の分配金利回りは3.0%、NAV倍率は1.6倍、市場時価総額は10.5兆円に拡大し、はじめて10兆円の大台を突破した。
   2014年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数は25.3%上昇し、2012年の33.6%、2013年の35.9%に続いて3年連続で大幅高となった[図表8]。とりわけ、日銀が10月31日にJ-REITの年間取得額を従来の300億円から900億円に増額する追加緩和を発表すると上昇に弾みがつき、配当込みベースの東証REIT指数は、リーマン・ショック前に付けた最高値(2007年5月)を7年半ぶりに更新した。J-REITによる物件取得額は約1.6兆円となり、前年から30%減少したものの、2013年、2006年に次ぐ金額を確保した。取得不動産の内訳は、オフィス(7,671億円、占率48%)や住宅(2,923億円、18%)が中心となる一方、ヘルスケア特化型REITの誕生や初の海外不動産投資の実現など、新たな動きもみられた。また、上場銘柄数は6社増加の49社、市場全体の運用不動産は12.6兆円となり、いずれも過去最高となった。




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金融研究部   主任研究員

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

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