2021年11月04日

ユーロ圏失業率(2021年9月)-失業率は5か月連続で低下、7.4%に

経済研究部 主任研究員 高山 武士

文字サイズ

1.結果の概要:失業率は7%台前半へ

11月3日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2021年8月、季節調整値)】
失業率は7.4%、市場予想1(7.4%)と同じで、前月(7.5%)から改善した(図表1)
失業者は1207.9万人となり、前月(1233.4万人)から25.5万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:多くの国で失業率がさらに低下

ユーロ圏の9月の失業率は7.4%と前月の7.5%から低下した。また、前月までの改定値もほぼ変更がなく、ほぼコロナ禍前の水準まで回復している。

失業者数は9月の前月差で25.5万人減(8月改定値:▲15.8万人)と一段と減少し、4月以降の減少数(5-9月累計)は118.6万人となった。失業者数は、ほぼ2020年2月と同じ(1208.0万人)であり、直近で最も失業者が少なかった20年3月(1149.8万人)まであと58.1万人という水準となった(図表1・4)。

若年失業率も9月には16.0%と前月(16.3%)から改善した。また、若年失業率の改定値は8月(改定前16.4→改定後16.3%)、7月(17.7→17.6%)、6月(17.3→17.2%)とやや改善方向に改定された。若年失業者数は9月には230.7万人となり、直近の最低値である20年3月(224.1万人)まであと6.6万人に迫っている(図表2)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の失業率/(図表4)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化
国別の9月のデータを見ると、失業率が悪化した国が19か国中2か国、改善が15か国、横ばいが2か国、若年失業率では悪化が6か国、改善が8か国、横ばいが5か国となった(図表5・6)。9月は特にギリシャの若年失業率が大きく改善した。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアでは9月は就業者が増加し失業者と非労働力人口が減少、他方、ポルトガルでは就業者が減少し失業者と非労働力人口が増加した(図表7・8)。ただし、ポルトガルでも労働参加率がコロナ禍前の水準を上回っており、広義失業者(未活用労働、labour underutilisation)も統計でさかのぼれる2011年以来の最低水準となるなど、労働需要は強いと見られる。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2021年11月04日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【ユーロ圏失業率(2021年9月)-失業率は5か月連続で低下、7.4%に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

ユーロ圏失業率(2021年9月)-失業率は5か月連続で低下、7.4%にのレポート Topへ