2021年11月01日

ユーロ圏GDP(2021年7-9月期)-回復が続きほぼコロナ禍前の水準に

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:2四半期連続でプラス成長

10月29日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏GDPの一次速報値(Preliminary Flash Estimate)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国GDP(2021年4-6月期、季節調整値)】
前期比は2.2%、市場予想1(2.1%)より上振れ、前期(2.1%)から加速した(図表1)
前年同期比は3.7%、市場予想(3.5%)より上振れ、前期(14.2%)から低下した(図表2)

(図表1)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様

2.結果の詳細:ほぼコロナ禍前の水準まで回復

2021年7-9月期の成長率は前期比2.2%(年率換算9.1%)となり、2四半期連続でのプラス成長となった。コロナ禍前(19年10-12月期)の水準との比較では▲0.5%と、ほぼコロナ禍前の水準まで回復したことになる。

経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ1.8%(前期1.9%)、フランス3.0%(前期1.3%)、イタリア2.6%(前期2.7%)、スペイン2.0%(前期1.1%)となり、前期に続き速報時点で公表されている国はすべてプラス成長を記録した。コロナ禍前と比較すると(図表3)、大国4か国はすべてマイナス圏にあるものの、フランス、ドイツ、イタリアはかなりコロナ禍前の水準に近づいてきたことが分かる。他方、スペインはかなり回復が遅れており、その他の主要国では、ポルトガルの回復もやや遅れている。
(図表3)ユーロ圏主要国の7-9月期GDP伸び率/(図表4)ユーロ圏主要国のGDP水準(コロナ禍前との比較)
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で見ていきたい。

フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費5.0%(前期1.3%)、政府消費3.0%(前期0.7%)、投資▲0.1%(前期2.5%)、輸出2.3%(前期1.2%)、輸入0.1%(前期1.7%)となった。個人消費が大幅に加速したことが成長をけん引役となった(図表5、ここでは2019年の平均を100として記載)。産業別の付加価値を見ると、製造業が▲0.1%(前期▲0.6%)、建設業が▲0.5%(前期3.8%)、市場型サービス産業4.5%(前期2.1%)、非市場型サービス1.6%(前期▲0.3%)だった。コロナ禍前との比較では、コロナ禍で低迷していた住居・飲食業が前期比で43.1%(前期30.5%)と急回復が続いた。コロナ禍前との比較では▲16.5%とまだ回復は道半ばだが、市場型サービス全体で見るとコロナ禍前比で▲0.0%まで回復している。一方、製造業はコロナ禍前との比較でも▲4.3%と回復の重しになっている。
(図表5)フランスの実質GDP水準/(図表6)スペインの実質GDP水準
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲0.5%(前期4.7%)、政府消費0.1%(前期0.9%)、投資1.3%(前期▲2.2%)、輸出6.4%(前期0.9%)、輸入0.7%(前期4.2%)となった。スペインでは、7-9月期の個人消費の伸びがマイナスに転じており、また、投資も力強さを書いている(図表6)。産業別には、製造業が前期比3.4%(前期▲1.0%)、建設業が前期比1.8%(前期▲2.5%)、サービス業が前期比3.2%(前期1.4%)となっている。コロナ禍前との比較ではサービス業が▲6.2%、製造業が▲5.5%といずれも回復が遅れており、また建設業が▲15.2%とスペインでは建設業の不振が目立つ。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2021年11月01日「経済・金融フラッシュ」)

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