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- ユーロ圏消費者物価(9月)-コア指数も2%近くまで上昇
2021年10月04日
1.結果の概要:総合指数で3%台半ば、コア指数で2%近くまで上昇
10月1日、欧州委員会統計局(Eurostat)は9月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は+3.4%、市場予想1(+3.3%)を上回り、前月(+3.0%)から加速(図表1)
・前月比は+0.5%、予想(+0.5%)と同じで、前月(0.4%)から増加
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は+1.9%、予想(+1.9%)と同じで、前月(+1.6%)から加速(図表2)
・前月比は+0.5%、前月(+0.3%)から増加
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:エネルギー価格の上昇圧力は高い
9月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で+3.4%となり、約10年ぶりに3%台に達した8月(+3.0%)からさらに加速した。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」も+1.9%と前月(+1.6%)から加速、ECBの目標(2%)にかなり近づいている。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は7月0.7%→8月2.6%→9月2.1%と推移しており、伸び率は高いものの8月よりは減速している。一方、「サービス」は7月0.9%→8月1.1%→9月1.7%と1%台後半まで上昇した。コロナ禍の影響を受けた業種を代表する外食・宿泊の伸び率が7月1.7%→8月2.1%(9月は速報時点では未公表)となり価格上昇圧力が増している。
コア以外の部分では「エネルギー」が9月は前年同月比17.4%と、6か月連続の2桁増となり、コロナ禍後のピークを更新した。昨年のエネルギー価格の低迷によるベース効果もあるものの、2年前比で見ても7月5.1%→8月5.8%→9月5.9%と3か月連続で5%以上の伸び率が続いており需要の強さによる価格上昇圧力もかなり高いと見られる。前年同期比寄与度では1.60%ポイント程度で引き続き総合指数の伸び率をけん引していると見られる(前掲図表1・2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、9月は前年同月比で+2.1%(8月+2.0%)となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は+1.9%(8月+1.7%)、未加工食品は+2.6%(8月+3.0%)だった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は7月0.7%→8月2.6%→9月2.1%と推移しており、伸び率は高いものの8月よりは減速している。一方、「サービス」は7月0.9%→8月1.1%→9月1.7%と1%台後半まで上昇した。コロナ禍の影響を受けた業種を代表する外食・宿泊の伸び率が7月1.7%→8月2.1%(9月は速報時点では未公表)となり価格上昇圧力が増している。
コア以外の部分では「エネルギー」が9月は前年同月比17.4%と、6か月連続の2桁増となり、コロナ禍後のピークを更新した。昨年のエネルギー価格の低迷によるベース効果もあるものの、2年前比で見ても7月5.1%→8月5.8%→9月5.9%と3か月連続で5%以上の伸び率が続いており需要の強さによる価格上昇圧力もかなり高いと見られる。前年同期比寄与度では1.60%ポイント程度で引き続き総合指数の伸び率をけん引していると見られる(前掲図表1・2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、9月は前年同月比で+2.1%(8月+2.0%)となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は+1.9%(8月+1.7%)、未加工食品は+2.6%(8月+3.0%)だった。
国別のHICP上昇率を見ると、9月は前年同月比伸び率で見て19か国中16か国が8月から加速、前月比でも14か国が加速している(図表5・6)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年10月04日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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