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デジタルユーロプロジェクト始動-予備実験の知見と今後
 
                                                経済研究部 主任研究員 高山 武士
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- ECBは、デジタルユーロプロジェクトを立ち上げ、調査段階(investigation phase)の開始を決定した。10月から24か月間にわたって実施される予定。一方、デジタルユーロを発行するかについては決定を留保している。
 
- 調査段階では、まず今年末にかけて、デジタルユーロ導入の政策目的や利用に関する議論が行われ、22年前半には、秘匿性とEUの他の政策目的とのトレードオフが議論される。その後、金融システムや現金利用への影響について、デジタルユーロの流通体系(ecosystem)における官民参加の事業モデルについての議論が行われる予定。
 
- この調査段階に先立って、ECBはこれまで実施してきた予備実験(preliminary experimentation)から得られた成果を公表した。
 
- 本稿では、予備実験の内容とその知見を紹介しているが、筆者が注目した点や印象について述べると以下の通り。
・実験は既存決済システムを利用したものから分散型台帳を利用するもの、それらの組み合わせなど幅広く実施された。
・特に「階層型」と呼ばれる中央銀行の下に仲介機関がおりそれぞれがデジタルユーロ台帳を管理する方法は、(その台帳がDLTか問わないなど)柔軟性・拡張性に長けており、仲介機関が付加価値を提供する余地も大きいため、実用化する場合には有力な方法であると思われる。
・秘匿性確保とマネロン対策(AML/CFT)の両立、オフライン端末の機能においては課題も残されている。
・eIDの利用などEUが進めるデジタル戦略との平仄も意識されている。今後、デジタルユーロ発行の機運が高まれば、EUのデジタル戦略に沿った形で政府・中央銀行・民間が協力して取り組む代表事例となる可能性もあるだろう。
■目次
1――予備実験から調査段階へ
2――取り組み状況
1|主要中銀の状況
2|予備実験の位置付け
3――予備実験の内容と得られた知見
1|各作業部会での実験内容
2|実験から得られた主な知見(key learnings)
3|主な知見の結論
4――おわりに
(2021年09月02日「基礎研レポート」)
 
                                        03-3512-1818
- 【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職
 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
 アドバイザー(2024年4月~)
 【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員
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