2020年09月28日

中央銀行デジタル通貨の役割を根っこから考える

日本生命保険相互会社 海外事業企画部 審議役(前・日本銀行決済機構局長) 木村 武

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■要旨

決済システムの将来像を考える際に、ブロックチェーン技術の活用の有無といった技術論から中央銀行マネーの在り方を考えるのは適切ではない。伝統的なプレイヤーである銀行以外に、ノンバンク決済事業者がリテール決済サービス市場に新規参入するなど、決済システムの構造が大きくかわりつつある中で、中銀マネーにはいったいどのような役割が求められるのか、民間マネーとの違いは何か、という本質論を抜いたままでは、決済システムの将来像に関する議論が迷走してしまう。中央銀行デジタル通貨の検討を進める際には、デジタル社会における中銀マネーと民間マネーの交換可能性(convertibility)をどう確保していくか、という点を軸に理解を深めていくことが重要となる。

■目次

1――はじめに
2――CBDCとは何か
3――中銀マネーの役割
  1│マネーの等価交換と一様性
  2│危機時における中銀マネーの役割
4――CBDCに求められる機能
5――CBDCが必要となる状況とシナリオ
  1│キャッシュレス化の進展
  2│ノンバンク決済事業者の新規参入の影響
  3│中銀マネーが決済事業者間の競争と協調に与える影響
6――民間決済インフラとCBDCの関係
7――おわりに

(2020年09月28日「基礎研レポート」)

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