2019年11月15日

中央銀行デジタル通貨の動向-デジタル人民元vsリブラ、米国

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

総合政策研究部 准主任研究員 鈴木 智也

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■要旨

ここ最近、中国の人民銀行関係者からデジタル通貨に関する情報発信が相次いでいる。今年7月には人民銀行の周(シュウ)小川(ショウセン)前総裁が、フェイスブック社の仮想通貨『リブラ(Libra)』は既存の国際決済システムや国家通貨に対する脅威になるとして、対抗手段の1つにデジタル人民元を挙げた。また8月には、人民銀行高官が「(デジタル人民元の)発行準備はほぼ整っている」と発言し、世界のデジタル通貨研究の関係者に驚きを与えた。さらに9月には、易(イー)綱(ガン)総裁がデジタル人民元について初めて言及し、デジタル通貨開発が進む現状をうかがわせた。

中国で開発が進むデジタル人民元は、中央銀行が発行するデジタル通貨『CBDC(Central Bank Digital Currency)』の1つである。CBDCの実用化に向けた研究は、これまでスウェーデンやウルグアイなどの小国が先行してきたが、中国がそのトップ争いに加わった格好だ。ただし、中国の発行するデジタル人民元は、世界に与える影響やその意味合いが小国の発行するものとは大きく異なる。

本稿では、CBDCの特徴やその仕組みについて整理し、中国がここに来てデジタル人民元の発行に本腰を入れ始めた理由やその狙いについて考察する。

■目次

1――デジタル人民元の開発
2――中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)とは
  1|CBDCの定義
  2|CBDCの仕組み
  3|CBDCのメリット・デメリット
3――各国で進む研究の現状
4――デジタル人民元の挑戦と影響
  1|リブラ(※補足)への対抗
  2|米国への対抗
※【補足】――リブラ(Libra)
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総合政策研究部

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

総合政策研究部

鈴木 智也 (すずき ともや)

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