2021年11月01日

ユーロ圏消費者物価(10月)-エネルギー価格が20%超の上昇を記録

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:総合指数で4%超、コア指数で2%超の上昇率

10月29日、欧州委員会統計局(Eurostat)は9月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【総合指数】
前年同月比は+4.1%、市場予想1(+3.7%)を上回り、前月(+3.4%)から加速(図表1)
前月比は+0.8%、予想(+0.5%)を上回り、前月(0.5%)から加速

【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2
前年同月比は+2.1%、予想(+1.9%)を上回り、前月(+19%)から加速(図表2)
前月比は+0.3%、前月(+0.5%)から減速

(図表1)ユーロ圏のHICP上昇率/(図表2)ユーロ圏のHICP上昇率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。

2.結果の詳細:エネルギー価格が20%を超える上昇率に

10月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で+4.1%となり、2008年7月以来の高い伸び率まで上昇した。また、「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」の2.1%は、2002年代の以来の上昇率となる3

以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。

まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は8月2.6%→9月2.1%→10月2.0%と推移しており、8月をピーク減速傾向が続いているが、2%台での推移となっている。一方、「サービス」は8月1.1%→9月1.7%→10月2.1%となり、2%を超える伸び率に達した。コロナ禍の影響を受けた業種を代表する外食・宿泊の伸び率が7月1.7%→8月2.1%→9月2.6%(10月は速報時点では未公表)の加速が目立つ。

コア以外の部分では「エネルギー」が10月は前年同月比23.5%と、20%を超える伸び率となった。これまでの10%台伸び率も高かったが、10月は上昇幅が一段と拡大した。前月比でも5.5%の上昇、コロナ禍の影響を除いた2年前比で見ても8月5.8%→9月5.9%→10月10.0%となり、2桁増の伸び率に達している。前年同期比寄与度では2.16%ポイント程度となり、エネルギー価格の上昇寄与だけで2%ポイントを超えている状況と見られる(前掲図表1・2)。

「飲食料(アルコール含む)」は、10月は前年同月比で+2.0%(9月+2.0%)となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は+2.2%(9月+1.9%)、未加工食品は+1.4%(9月+2.6%)だった。
(図表3)ユーロ圏の飲食料価格の上昇率と内訳/(図表4)ユーロ圏のコアHICP上昇率
なお、ドイツでのVATが引き下げ終了など、税率変更によるベース効果で7月以降のインフレ率は0.5%ポイント程度押し上げられていると見られる。エネルギー価格の変動も税率変更の影響も除いたコアインフレ上昇率は1%台半ばで推移していると見られ、エネルギー価格と特殊要因を除けばECBの物価目標である2%を下回っていると言える。ただし、消費者が直面する価格が4%を超えて上昇率している状況は、個人消費への逆風となっており、今後もエネルギー価格を中心に高インフレの状況が継続すれば、消費の減速懸念が強まるだろう。
(図表5)ユーロ圏HICP上昇率(前年同月比)/(図表6)ユーロ圏HICP上昇率(前月比)
国別のHICP上昇率では、10月は前年同月比伸び率で見て19か国中すべての国が9月から加速、前月比でも18か国が加速(減少幅が縮小)となった(図表5・6)。
 
3 いずれも当時のユーロ加盟国は現在の19か国より少ない。ただし19か国ベースでも伸び率はほぼ変わらない。
 
 

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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2021年11月01日「経済・金融フラッシュ」)

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