2024年10月21日

米住宅着工・許可件数(24年9月)-着工件数は前月から小幅に減少も市場予想を上回る。戸建て住宅に回復の兆し

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

文字サイズ

1.結果の概要:住宅着工は市場予想を上回る一方、許可件数は市場予想を下回る

10月18日、米国センサス局は9月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は135.4万件(前月改定値:136.1万件)と135.6万件から上方修正された前月を下回った一方、市場予想の135.0万件(Bloomberg集計の中央値)は上回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は142.8万件(前月改定値:147.0万件)と147.5万件から下方修正された前月、市場予想の146.0万件も下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建ては回復の兆しも、7-9月期の住宅投資は2期連続のマイナスへ

住宅着工件数の伸びは前月比▲0.5%(前月:+7.8%)と小幅ながら前月からマイナスに転じた(図表3)。戸建てが+2.7%(前月:+16.1%)と2桁の伸びとなった前月に続いてプラスを維持したものの、集合住宅が▲9.4%(前月:▲10.0%)と2ヵ月連続でマイナスとなり、着工件数全体を押し下げた(図表4)。

前年同月比は▲0.7%(前月:+4.3%)と前月からマイナスに転じた。内訳をみると、戸建てが+5.5%(前月:+6.0%)と2ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲16.2%(前月:▲0.3%)とこちらは9ヵ月連続のマイナスとなった。戸建ては足元で回復の兆しがみられる。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+4.8%ポイント(前月:▲4.7%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、中西部が▲1.3%ポイント(前月:+1.3%ポイント)、南部が▲1.9%ポイント(前月:+10.0%ポイント)、西部が▲2.1%ポイント(前月:+1.2%ポイント)といずれも前月からマイナスに転じた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲2.9%(前月:+4.6%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが+0.3%(前月:+2.8%)とプラス幅は縮小したものの、3ヵ月連続でプラスを維持した一方、集合住宅が▲8.9%(前月:+8.2%)とプラスに転じて許可件数全体を押し下げた(図表6)。

前年同月比は▲5.7%(前月:▲6.8%)と8ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲1.2%(前月:▲0.5%)と4ヵ月連続のマイナスとなったほか、マイナス幅が拡大したことに加え、集合住宅が▲14.1%(前月:▲17.0%)と19ヵ月連続のマイナスとなるなど悪化傾向が続いている。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で9月がそれぞれ▲4.3%(6月:▲17.6%)、+1.0%(6月:▲21.2%)と、着工件数は6月からマイナス幅縮小も、マイナスが続いている一方、許可件数は小幅ながらプラスに転じた(図表7)。

このため、着工件数のマイナスが続いていることから、10月30日発表の7-9月期の実質GDPにおける住宅投資(前期比年率)は前期の▲2.8%に続いて2期連続のマイナス成長が見込まれる。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年10月21日「経済・金融フラッシュ」)

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

ピックアップ

レポート紹介

【米住宅着工・許可件数(24年9月)-着工件数は前月から小幅に減少も市場予想を上回る。戸建て住宅に回復の兆し】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

米住宅着工・許可件数(24年9月)-着工件数は前月から小幅に減少も市場予想を上回る。戸建て住宅に回復の兆しのレポート Topへ