2024年08月02日

住宅市場が足元減速-住宅ローン金利、住宅価格上昇が住宅需要の重石。ただし、今後の住宅ローン金利低下は追い風に

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. 実質GDPにおける住宅投資は24年4-6月期が前期比年率▲1.4%(前期:+16.0%)と4期ぶりにマイナス転換。住宅着工件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比年率)は戸建ての不振もあって▲15.7%と2桁のマイナス。先行指標である着工許可件数も同▲21.2%と当面は軟調が続く見通し。
     
  2. 住宅ローン金利が高止まりする中、住宅価格の上昇が持続。中古住宅在庫の不足が住宅価格を押し上げる構図。これらの結果、住宅取得能力指数は月々の住宅ローン支払い額が収入の27%近くに達するなど、住宅取得のハードルが上がっており、住宅需要は低迷。
     
  3. 住宅販売件数は住宅ローン金利の上昇に伴う中古住宅売却の減少に伴い中古住宅販売の不振が続く一方、新築住宅販売は減少も低下幅は中古住宅に比べて限定的。
     
  4. 住宅ローンの延滞率は幾分上昇に転じているものの、堅調な雇用環境や住宅価格の上昇を反映して依然として低水準を維持。
     
  5. 足元で住宅取得のハードルが上がっているほか、住宅購入センチメントは今が住宅の買い時と回答する割合は低迷しており、当面は住宅需要の回復が難しい状況。ただし、足元で中古住宅在庫が増加に転じているほか、FRBの利下げ開始に伴う住宅ローン金利の低下も見込めることから、中期的には住宅市場は回復に転じることが予想される。

 
(図表1)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率
■目次

1.はじめに
2.住宅ローン金利や住宅価格の上昇から住宅需要は低下
  (住宅投資、住宅着工・許可件数)
   住宅投資は4期ぶりマイナス、住宅着工・許可件数は大幅減少
  (住宅ローン金利、住宅価格)住宅ローン金利は高止まり、住宅価格は価格上昇が持続
  (住宅取得能力)所得対比で住宅購入のハードルは高い
  (住宅販売件数)
   中古住宅販売は販売在庫不足から低迷、新築住宅の減少幅は中古販売より限定的
  (住宅ローン)延滞率は安定、銀行の貸出基準は緩和が継続
3.今後の見通し

(2024年08月02日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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