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- 米GDP(24年4-6月期)-前期比年率+2.8%と前期から大幅上昇、市場予想の+2.0%も大幅に上回る
2024年07月26日
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1.結果の概要:成長率は8期連続のプラス、前期、市場予想を大幅に上回る
4-6月期の成長率を需要項目別にみると、住宅投資が前期比年率▲1.4%(前期:+16.0%)と2桁の伸びとなった前期の反動もあって4期ぶりにマイナスに転じたほか、外需の成長率寄与度が▲0.72%ポイント(前期:▲0.65%ポイント)と前期からマイナス幅が拡大し、22年1-3月期以来のマイナス幅となった(図表2)。
一方、個人消費が前期比年率+2.3%(前期:+1.5%)と前期から伸びが加速して成長率を押し上げたほか、設備投資が+5.2%(前期:+4.4%)、政府支出が+3.1%(前期:+1.8%)といずれも前期から伸びが加速した。さらに、在庫の成長率寄与度が+0.82%ポイント(前期:▲0.42%ポイント)と前期から大幅な成長押し上げに転換した。
これらの結果、GDPから在庫投資と外需を除いた国内最終需要は前期比年率+2.7%(前期:+2.4%)となり、小幅ながら国内需要の伸びは前期から加速し内需が堅調であることを確認した。
このように、当期は前期から個人消費主導で成長率が大幅に加速した一方、後述するようにPCE価格指数が総合、コアともに前期比が低下するなど、FRBが目指すソフトランディングに沿った結果と言えよう。本日の結果を受けてFRBの9月利下げ開始の可能性が高まった。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
一方、個人消費が前期比年率+2.3%(前期:+1.5%)と前期から伸びが加速して成長率を押し上げたほか、設備投資が+5.2%(前期:+4.4%)、政府支出が+3.1%(前期:+1.8%)といずれも前期から伸びが加速した。さらに、在庫の成長率寄与度が+0.82%ポイント(前期:▲0.42%ポイント)と前期から大幅な成長押し上げに転換した。
これらの結果、GDPから在庫投資と外需を除いた国内最終需要は前期比年率+2.7%(前期:+2.4%)となり、小幅ながら国内需要の伸びは前期から加速し内需が堅調であることを確認した。
このように、当期は前期から個人消費主導で成長率が大幅に加速した一方、後述するようにPCE価格指数が総合、コアともに前期比が低下するなど、FRBが目指すソフトランディングに沿った結果と言えよう。本日の結果を受けてFRBの9月利下げ開始の可能性が高まった。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)自動車関連やガソリンなどの財消費が大幅に増加
4-6月期の個人消費は、財消費が前期比年率+2.5%(前期:▲2.3%)と前期からプラスに転じた一方、サービス消費が+2.2%(前期:+3.3%)とこちらは前期から小幅ながら伸びが鈍化した(図表3)。
財消費では、耐久財が+4.7%(前期:▲4.5%)、非耐久財が+1.4%(前期:▲1.1%)といずれも前期からプラスに転じた。
耐久財では、自動車・自動車部品が+4.8%(前期:▲14.0%)と前期の2ケタの大幅なマイナスからプラスに転じたほか、娯楽・スポーツカーも+4.7%(前期:▲2.4%)とプラスに転じた。さらに、家具・家電も+6.9%(前期:+0.3%)と前期から伸びが加速した。
非耐久財は、衣料・靴が▲3.0%(前期:+3.3%)と前期からマイナスに転じた一方、食料・飲料が+1.8%(前期:▲0.2%)とプラスに転じたほか、ガソリン・エネルギーも+6.2%(前期:▲12.0%)と前期の2ケタのマイナスからプラスに転じ、非耐久財消費全体を押し上げた。
サービス消費は、飲食・宿泊サービスが+0.9%(前期:▲3.3%)と前期から小幅ながらプラスに転じたほか、住宅・公共料金が+1.5%(前期:+1.0%)、輸送サービスが+4.0%(前期:+0.3%)、娯楽サービスが+4.1%(前期:+2.8%)と前期から伸びが加速した。一方、医療サービスが+4.0%(前期:+7.2%)と好調を維持したものの、前期から伸びが鈍化したほか、金融サービスも+1.6%(前期:+5.6%)と伸びが鈍化した。
一方、実質可処分所得は前期比年率+1.0%(前期:+1.3%)と前期から小幅ながら伸びが鈍化した(図表4)。貯蓄率は3.5%(前期:3.8%)と前期から低下した。
4-6月期の個人消費は、財消費が前期比年率+2.5%(前期:▲2.3%)と前期からプラスに転じた一方、サービス消費が+2.2%(前期:+3.3%)とこちらは前期から小幅ながら伸びが鈍化した(図表3)。
財消費では、耐久財が+4.7%(前期:▲4.5%)、非耐久財が+1.4%(前期:▲1.1%)といずれも前期からプラスに転じた。
耐久財では、自動車・自動車部品が+4.8%(前期:▲14.0%)と前期の2ケタの大幅なマイナスからプラスに転じたほか、娯楽・スポーツカーも+4.7%(前期:▲2.4%)とプラスに転じた。さらに、家具・家電も+6.9%(前期:+0.3%)と前期から伸びが加速した。
非耐久財は、衣料・靴が▲3.0%(前期:+3.3%)と前期からマイナスに転じた一方、食料・飲料が+1.8%(前期:▲0.2%)とプラスに転じたほか、ガソリン・エネルギーも+6.2%(前期:▲12.0%)と前期の2ケタのマイナスからプラスに転じ、非耐久財消費全体を押し上げた。
サービス消費は、飲食・宿泊サービスが+0.9%(前期:▲3.3%)と前期から小幅ながらプラスに転じたほか、住宅・公共料金が+1.5%(前期:+1.0%)、輸送サービスが+4.0%(前期:+0.3%)、娯楽サービスが+4.1%(前期:+2.8%)と前期から伸びが加速した。一方、医療サービスが+4.0%(前期:+7.2%)と好調を維持したものの、前期から伸びが鈍化したほか、金融サービスも+1.6%(前期:+5.6%)と伸びが鈍化した。
一方、実質可処分所得は前期比年率+1.0%(前期:+1.3%)と前期から小幅ながら伸びが鈍化した(図表4)。貯蓄率は3.5%(前期:3.8%)と前期から低下した。
(民間投資)建設投資は減少も設備機器投資は大幅に増加
4-6月期の民間設備投資は建設投資が前期比年率▲3.3%(前期:+3.4%)と7期ぶりにマイナスに転じたほか、知的財産投資が+4.5%(前期:+7.7%)と前期から伸びが鈍化した(図表5)。一方、設備機器投資が+11.6%(前期:+1.6%)と前期から大幅に伸びが加速し、設備投資全体を押し上げた。
4-6月期の民間設備投資は建設投資が前期比年率▲3.3%(前期:+3.4%)と7期ぶりにマイナスに転じたほか、知的財産投資が+4.5%(前期:+7.7%)と前期から伸びが鈍化した(図表5)。一方、設備機器投資が+11.6%(前期:+1.6%)と前期から大幅に伸びが加速し、設備投資全体を押し上げた。

設備機器投資は、産業機器が▲3.2%(前期:+13.0)と2桁の伸びとなった前期の反動もあってマイナスに転じた。一方、情報処理関連が+10.2%(前期:+6.8%)と前期から伸びが加速したほか、輸送機器が+49.8%(前期:▲18.0%)と前期から大幅なプラスに転じて設備機器投資全体を押し上げた。
知的財産投資では、ソフトウエアが+6.6%(前期:+11.0%)と堅調を維持しつつも、前期から伸びが鈍化したほか、研究・開発が+3.4%(前期:+5.9%)、娯楽・文学等が横這い(前期:+1.0%)といずれも伸びが鈍化した
最後に住宅投資は、戸建てが前期比年率▲5.6%(前期:+17.0%)と2桁の伸びとなった前期からマイナスに転じた。また、集合住宅が▲3.2%(前期:▲8.0%)と3期連続のマイナスとなったほか、前期からマイナス幅が拡大した。
(貿易)輸出の伸びが加速も、輸入の伸びが輸出を大幅に上回る
4-6月期の輸出入は輸出が前期比年率+2.0%(前期:+1.6%)と小幅ながら前期から伸びが加速した一方、輸入が+6.9%(前期:+6.1%)と輸出の伸びを大幅に上回ったほか、前期から伸びが加速した。このため、当期は輸入の伸びが外需の成長率寄与度を前期から押し下げる方向に働いた。
輸出を仔細にみると、財輸出が前期比年率+1.7%(前期:▲0.5%)と前期からプラスに転じた一方、サービス輸出が+2.6%(前期:+5.9%)とこちらは前期から伸びが鈍化した(図表7)。
財輸出では、食料・飲料が▲25.0%(前期:+19.3%)と前期から大幅なマイナスに転じたほか、工業用原料が▲8.5%(前期:▲5.8%)と2期連続でマイナスとなった。工業用原料では石油・石油製品が▲11.0%(前期:▲1.4%)と前期からマイナス幅が拡大して全体を押し下げた。一方、自動車関連が+6.1%(前期:▲10.0%)と3期ぶりにプラスに転じたほか、資本財(自動車関連除く)が+9.1%(前期:+1.3%)、消費財(食料、自動車関連除く)が+26.5%(前期:+10.0%)と前期から伸びが加速した。
サービス輸出では、旅行が+10.3%(前期:+7.1%)と前期から伸びが加速した一方、輸送が▲1.1%(前期:+8.9%)とマイナスに転じた。
一方、輸入はサービス輸入が+3.6%(前期:+4.3%)と前期から伸びが鈍化した一方、財輸入が+7.7%(前期:+6.5%)と前期から伸びが加速した(図表8)。
財輸入では、食料・飲料が▲5.1%(前期:+7.2%)、工業用原料が▲1.9%(前期:+9.6%)と前期からマイナスに転じた。一方、自動車関連が+3.4%(前期:+2.5%)、消費財(食料、自動車関連除く)が+5.7%(前期:+3.4%)と前期から伸びが加速したほか、資本財(自動車関連除く)が+17.6%(前期:+15.7%)と3期連続で2桁の伸びとなった。
サービス輸入は、旅行が+7.0%(前期:+3.8%)と前期から伸びが加速した一方、輸送が▲11.0%(前期:+26.8%)と2桁の大幅な伸びとなった前期から2桁の大幅なマイナスに転じた。
4-6月期の輸出入は輸出が前期比年率+2.0%(前期:+1.6%)と小幅ながら前期から伸びが加速した一方、輸入が+6.9%(前期:+6.1%)と輸出の伸びを大幅に上回ったほか、前期から伸びが加速した。このため、当期は輸入の伸びが外需の成長率寄与度を前期から押し下げる方向に働いた。
輸出を仔細にみると、財輸出が前期比年率+1.7%(前期:▲0.5%)と前期からプラスに転じた一方、サービス輸出が+2.6%(前期:+5.9%)とこちらは前期から伸びが鈍化した(図表7)。
財輸出では、食料・飲料が▲25.0%(前期:+19.3%)と前期から大幅なマイナスに転じたほか、工業用原料が▲8.5%(前期:▲5.8%)と2期連続でマイナスとなった。工業用原料では石油・石油製品が▲11.0%(前期:▲1.4%)と前期からマイナス幅が拡大して全体を押し下げた。一方、自動車関連が+6.1%(前期:▲10.0%)と3期ぶりにプラスに転じたほか、資本財(自動車関連除く)が+9.1%(前期:+1.3%)、消費財(食料、自動車関連除く)が+26.5%(前期:+10.0%)と前期から伸びが加速した。
サービス輸出では、旅行が+10.3%(前期:+7.1%)と前期から伸びが加速した一方、輸送が▲1.1%(前期:+8.9%)とマイナスに転じた。
一方、輸入はサービス輸入が+3.6%(前期:+4.3%)と前期から伸びが鈍化した一方、財輸入が+7.7%(前期:+6.5%)と前期から伸びが加速した(図表8)。
財輸入では、食料・飲料が▲5.1%(前期:+7.2%)、工業用原料が▲1.9%(前期:+9.6%)と前期からマイナスに転じた。一方、自動車関連が+3.4%(前期:+2.5%)、消費財(食料、自動車関連除く)が+5.7%(前期:+3.4%)と前期から伸びが加速したほか、資本財(自動車関連除く)が+17.6%(前期:+15.7%)と3期連続で2桁の伸びとなった。
サービス輸入は、旅行が+7.0%(前期:+3.8%)と前期から伸びが加速した一方、輸送が▲11.0%(前期:+26.8%)と2桁の大幅な伸びとなった前期から2桁の大幅なマイナスに転じた。
(物価・名目値)PCE価格指数(前期比年率)は総合、コア指数ともに前期から低下
4-6月期のGDP価格指数は前期比年率+2.3%(前期:+3.1%)と前期、市場予想(同+2.6%)を下回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+5.2%(前期:+4.5%)と実質成長率に比べて前期からの上昇幅が小幅に留まった(図表9)。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+2.6%、前年同期比+2.6%(前期:+3.4%、+2.6%)と前期に比べて前期比は低下した一方、前年同期比は横這いとなった(図表10)。また、物価の基調を示す食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は、前期比年率+2.9%、前年同期比+2.7%(前期:+3.7%、+2.9%)となり、こちらは前期比、前年同期比ともに前期から低下した。この結果、コア指数は前年同期比でFRBが物価目標とする2%を依然上回っているものの、前期から低下して物価上昇圧力が緩和していることを確認した。
4-6月期のGDP価格指数は前期比年率+2.3%(前期:+3.1%)と前期、市場予想(同+2.6%)を下回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+5.2%(前期:+4.5%)と実質成長率に比べて前期からの上昇幅が小幅に留まった(図表9)。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+2.6%、前年同期比+2.6%(前期:+3.4%、+2.6%)と前期に比べて前期比は低下した一方、前年同期比は横這いとなった(図表10)。また、物価の基調を示す食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は、前期比年率+2.9%、前年同期比+2.7%(前期:+3.7%、+2.9%)となり、こちらは前期比、前年同期比ともに前期から低下した。この結果、コア指数は前年同期比でFRBが物価目標とする2%を依然上回っているものの、前期から低下して物価上昇圧力が緩和していることを確認した。
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
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(2024年07月26日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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