2024年07月18日

米住宅着工・許可件数(24年6月)-着工・許可件数ともに前月、市場予想を上回る。ただし、戸建ては着工、許可件数ともに減少

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を上回る

7月17日、米国センサス局は6月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は135.3万件(前月改定値:131.4万件)と127.7万件から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想の130.0万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は144.6万件(前月改定値:139.9万件)と138.6万件から上方修正された前月、市場予想の140.0万件を上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建ては減少、4-6月期実質GDPにおける住宅投資は4期ぶりマイナスへ

住宅着工件数の伸びは前月比+3.0%(前月:▲4.6%)と前月からプラスに転じた(図表3)。戸建てが▲2.2%(前月:▲3.4%)と4ヵ月連続でマイナスとなった一方、集合住宅が+19.6%(前月:▲8.2%)と前月からプラスに転じて着工件数全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比は▲4.4%(前月:▲17.0%)と2ヵ月連続のマイナスとなったものの、マイナス幅は縮小した。内訳をみると、戸建てが+5.4%(前月:+0.3%)と前月からプラス幅が拡大したものの、集合住宅が▲23.1%(前月:▲46.6%)と6ヵ月連続で2桁のマイナスとなり、全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、南部が▲1.0%ポイント(前月:▲4.4%ポイント)と2ヵ月連続のマイナスとなったほか、西部が▲1.5%ポイント(前月:+2.9%ポイント)と前月からマイナスに転じた。一方、中西部が+3.1%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)、北東部が+2.4%ポイント(前月:▲0.9%ポイント)といずれも前月からプラスに転じて全体を押し上げた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が+3.4%(前月:▲2.8%)と4ヵ月ぶりのプラスとなった(図表5)。戸建てが▲2.3%(前月:▲2.1%)と5ヵ月連続のマイナスとなった一方、集合住宅が+15.6%(前月:▲4.3%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じて全体を押し上げた(図表6)。

前年同月比は▲3.1%(前月:▲8.7%)と5ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲1.3%(前月:+4.1%)と23年5月以来のマイナスに転じたほか、集合住宅が▲6.4%(前月:▲27.9%)と前月からマイナス幅は縮小したものの、23年3月以来16ヵ月連続のマイナスとなった。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で6月がそれぞれ▲15.7%(3月:▲18.5%)、▲21.8%(3月:▲1.4%)と、着工件数は3月からマイナス幅は縮小したものの、2ケタのマイナスとなったほか、許可件数はマイナス幅が大幅に拡大した(図表7)。

4ヵ月連続で2ケタのマイナスが継続している着工件数からは7月25日に発表される24年4-6月期の実質GDPにおける住宅投資(前期比年率)が前期の+16.0%の大幅なプラス成長から4期ぶりにマイナスに転じる可能性が示唆される。
 
 

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(2024年07月18日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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