コラム
2024年03月21日

数字の「3」に関わる各種の話題-数多くの場面で現れてくる数字だが-

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はじめに

数字の「3」は、各種の場面で現れてくる。その意味では最も馴染み深い数字の1つだといえるだろう。これまで「25」以下の数字について、順序不同で紹介してきたが、いよいよ残るは「1」、「2」、「3」となっている。これらの数字はあまりにも幅広く使用されている数字なので、正直申し上げて、何をトピックとして取り上げたらよいのか、本当に困ってしまう。

今回は、このうちのまずは数字の「3」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。「3」については、数多くの場面で現れてくることから、このレポートで紹介するのはその一部に過ぎないことを述べておく。

数字の「3」のイメージ

数字の「1」が物事の始まりを表すとともに、孤立をイメージさせ、数字の「2」が2つの異なるものの統合を表すとともに、一方でそれらがマッチしない場合の対立をイメージさせかねないのに対して、数字の「3」は「調和」、「安定」を表しているイメージがあるようだ。

政治の世界では、米国や英国のような2大政党制では、多数決によって、明確な白黒が付けられるというメリットはあるものの、一方で特に近年においてはまさに対立が分裂を引き起こす可能性を惹起させている。一方で、一党体制は「独裁国家」のイメージにつながることになる。一定の存在感のある3つ目の政党があれば、3つ目の政党が、他の2つの政党間のバランスを取る形で、適正な結論を導き出してくれるかもしれないとの期待を抱かせることになる。

「三角形」が表すバランス感

数字の「3」を語るときに、具体的にどんなテーマから始めたらよいのだろうかと迷ってしまうが、そこは数学に関係しているということで、「三角形」についてから始めたいと思う。

おそらく、多くの人、特に日本人が「3」と言う数字に何となくの安定感や親近感(?)を感じてしまうのも、この「三角形」が有しているイメージからくる、微妙なバランス感みたいなものに対する感覚があるからなのではないかと個人的に思っている。

平面上の任意の異なる3点を取った場合、それらが一直線上になければ、「三角形」が形成されて、1つの面が出来上がることになる。この面が有する領域が特定の意味合いを有する形になっていたりする。

「三角形」については、古くから各種の研究がなされてきているが、これらについての具体的な話題は別途の機会に譲ることとする。例えば、ピタゴラスの「三平方の定理」に代表されるように、古代の数学者や哲学者にとっても、三角形は特別な意味合いを有していた。エジプトのピラミッドは、底辺が正方形、側面が三角形の四角錐の形状となっている。

「三角形」は、その安定的な形状から、また三角関数や三角法といった手法との関係等から、建設、エンジニアリング、設計の分野等で数多く利用されている。

以下で紹介する数字の「3」が現れるケースの多くにおいては、この「三角形」が有する、その形状によって表される一種のバランスに対する信頼感がベースに存在している中で、「3」という数字が使用されてきているのではないかと思われる。

「3つの〇〇」

物事を表すときに、3つのもので代表するケースが数多くみられる。例えば、以下のような具合である。

・三権分立
「三権」といえば、「司法、立法、行政」という国の3つの権力を指している。「三権分立」は、これらの3つの権力が1つの機関に集中することを回避し、それぞれが互いに抑制し、均衡を保つことで、権力の乱用を防ぎ、国民の権利と自由を保障しようとする考え方となっている。

・三種の神器
「三種の神器」といえば、日本の歴代天皇が古代よりレガリア(君主としての象徴)として伝世してきた三種類の宝物を指しており、具体的には「八咫鏡(やたのかがみ)」、「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」、「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」のことをいう。

光と色の「三原色」
「光の三原色」は、赤(R:レッド)、緑(G:グリーン)、青(B:ブルー)であり、「色の三原色」は、青緑(C:シアン)、赤紫(M:マゼンタ)、黄(Y:イエロー)となる。

これらの三色を混ぜ合わせることで、殆どの色を作り出すことが出来る。

「光の三原色」は、カラーテレビや蛍光灯等で使用されており、「色の三原色」は、カラー写真やインクジェットプリタ等で使用されている。

物質の三態:固体、液体、気体

徳川御三家:尾張、紀州、水戸

また、以下のような言葉も多く使用される。

○○三原則
非核三原則:核兵器を持たない、作らない、持ち込ませない
日本国憲法の三原則:国民主権、基本的人権の尊重、平和主義    
防衛装備移転三原則:日本国政府が採る武器輸出規制及び運用面の原則

〇〇三冠〇
野球の三冠王:打率、打点、本塁打
競馬の三冠:日本のクラシック三冠は、皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞、牝馬三冠は、 桜花賞、優駿牝馬(オークス)、秋華賞、米国のTriple Crownは、ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス

○○三部作
三部作(英語ではトリロジー(Trilogyと呼ばれる)は、三つに分かれていながら、同じ1つの主題を持つ作品群を指しており、映画、音楽、小説等でよくみられる。クラシック音楽の世界では、プッチーニの三部作(「外套」、「修道女アンジェリカ」、「ジャンニ・スキッキ」)、レスピーギのローマ三部作(「ローマの噴水」、「ローマの松」、「ローマの祭」)等が有名である。

・○○トリオ
トリオ(Trioというのは、3つ組、三つで構成される形態のことをいうが、音楽、演劇等の分野で使用される。

・○○三兄弟、○○三姉妹
基本的には、それぞれが全員男性や全員女性の場合を指しているが、男女がともに含まれている3人のケースについても、三兄弟と呼ばれる。映画やドラマや小説のタイトル等でも多く見られる。

歴史上も、毛利元就の三子教訓状、あるいは三本の矢の逸話で知られる、毛利隆元・吉川元春・小早川隆景の「毛利三兄弟」や、浅井長政とその正室市の間に生まれた、茶々・初・江の「浅井三姉妹」等が有名である。

3つのルール
各種の分野で「3つのルール(Rule of three)」という呼ばれ方がされる。 

例えば、生活習慣の在り方、仕事の進め方、文章の書き方等において、使用される(なお、統計における「3つのルール」については、後に述べる)。

プレゼンテーションにおける「3つの〇〇」という言い方

企画書等のプレゼンテーション資料では、よくポイントが3つや4つにまとめられている。1つや2つでは何か物足りないという印象を受けるが、逆に5つ以上あるとあまりにも多くて理解が難しくなり、覚えきれないということもあり、「3」や「4」という数字が多くの人にとって適当な水準として好まれているようだ。その中でも、特に、簡潔にまとめているという観点や聞き手の頭に残りやすいという観点から、「3」という数字がより好まれているようだ。

三文字で表されるもの

3つの文字や単語で表されるものが数多くある。これは、「いち、にー、さん」の掛け声等に見られるような「三拍子」のリズム感が日本人にマッチしていることと関係しているようだ。例えば、以下の通りである。

「上・中・下」、「天・地・人」、「松・竹・梅」、「安・近・短」、「大・中・小」、「陸・海・空」、「産・官・学」、「報・連・相」、「雪・月・花」、「金・銀・銅」、「有・良・可」、「心・技・体」、「い・ろ・は」、「A・B・C」、「断・捨・離」、「ホップ・ステップ・ジャンプ」、「じゃん・けん・ポン」、「グー・チョキ・パー」、「チャー・シュー・メン」

「三大〇〇」

物事を代表するものを表す場合に、「三大〇〇」という表現がよく使用される。例えば、以下の通りである。

日本三大祭り:京都の祇園祭、大阪の天神祭、東京の神田祭
日本三景:天橋立、松島、厳島
日本三大河川:信濃川、利根川、石狩川
日本三大都市圏:東京(首都圏)、大阪(近畿圏)、名古屋(中京圏)
三大成人病:がん、脳血管疾患、心疾患
世界三大宗教:キリスト教、イスラム教、仏教
世界三大珍味:キャビア、トリュフ、フォアグラ
三大栄養素:タンパク質、炭水化物、脂肪
三大発明:火薬、羅針盤、活版印刷
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中村 亮一

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