コラム
2024年03月21日

数字の「3」に関わる各種の話題-数多くの場面で現れてくる数字だが-

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「三」や「3」が付く言葉

「三」や「3」が付く言葉は、昔からの諺(ことわざ)等に多く見られ、例えば以下のものが挙げられる。

・三つ子の魂百まで         ・石の上にも三年
・桃栗三年柿八年          ・三人寄れば文殊の知恵
・二度あることは三度ある      ・三度目の正直
・早起きは三文の徳         ・仏の顔も三度まで

これ以外にも、例えば以下のような使用例がある。

・○○三昧             ・三面記事
・三日坊主             ・三日天下
・駆けつけ三杯           ・三すくみ
・三本の矢

文芸作品等の題名でも、「3」が良く使用されており、例えば以下のものが挙げられる。

・三匹の子豚            ・三丁目の夕日
・ルパン三世            ・三四郎

以下の例では、「3」はまさに中立的な立場等の意味で使用されている。
・第三者              ・三人称

日本において、「3」という数字は縁起の良い数字と見なされている

数字の「3」が、日本において縁起の良い数字と見なされていることを示すものとして、以下の例が挙げられる。

神前結婚式での「三々九度」は、大・中・小の3つの盃を使用して、新郎新婦がお酒を酌み交わす儀式である。1つの盃で3回お酒を酌み交わすことを1献と呼び、3つの盃で3献ずつ、いただくことから、「三々九度」と呼ばれている。

手締め」と呼ばれる日本独特の儀式として、「一本締め」や「三本締め」等がある。「一本締め」は、手を3回・3回・3回・1回と打つことを1セット行うものであり、これを3セット行うものが、正式な手締めとされる「三本締め」となっている。因みに、手を1回だけ打つのは「一丁締め」と呼ばれ、これは「関東一本締め」とも呼ばれて、一本締めと混同されているケースが多いようだ。また、「三々七拍子」と呼ばれるものは、手を3回・3回・7回を1セットとして行われる。手を打つ回数がなぜこのような構成になっているのかについては、それぞれに対して由来があるようだが、いずれにしても数字の「3」がベースになっており、これは数字の「3」が縁起の良い数字だということが関係しているものと推定される。

万歳三唱」は、各種の祝賀活動等において、万歳を3回繰り返す。

三十三間堂」や「三十三観音」にみられるように、「3」は観音様とご縁がある数字となっている。「三十三間堂」は、堂内陣の柱間が33あることに由来しており、これは観音菩薩が33種類の姿「三十三観音」に身を変えて人を救うという信仰から来ている。

なお、数字の「3」は、その読み方の「みつ」が、「満つ」や「充つ」につながることからも、縁起の良い数字としてみなされることになっているようだ。

宗教における数字の「3」

キリスト教では、「三位一体」と呼ばれる、神と子と聖霊の三つが一体(唯一の神)であるとする教えがある。これ以外にも、「三賢人」、「三大祭(クリスマス、復活祭、聖霊降誕祭)」等に、数字の「3」が現れてくる。

ヒンドゥー教でも、「三神一体」と呼ばれ、創造神ブラフマン、保持神ヴィシュヌ、破壊神シヴァが同一であり、これらの神は力関係の上では同等で、単一の神聖な存在から顕現する機能を異にする3つの様相に過ぎない、との考え方がある。

仏教でも「釈迦三尊」という、仏教における仏像安置の形式を示す言葉がある。

スポーツにみられる数字の「3」

スポーツで数字の「3」が見られるケースとしては、例えば、以下のものが挙げられる。

・野球においては、打者はストライクを3つ取られると三振でアウトになり、アウトが3つで攻撃側の1回が終了する。さらに、基本的に1試合は、3の3倍の9回まで、選手も9人となっている1

・プロレスリングでは、両肩をマットに押し付けられて、3つカウントされるとフォール負けになる。

・陸上競技のトライアスロン(三種競技)は、水泳、自転車、マラソンの三種目をこなす。

ところで、競技人数が3人のスポーツは、と聞かれると、殆どの人は具体的な例を挙げることができないのではないか、と思われるが、この答えとして、例えば「セパタクロー」が挙げられる。セパタクローは、ネットを挟んで、主に足、腿、頭を使って行うスポーツで別名「足のバレーボール」と呼ばれている。

その他に、「フットサル」の最低競技人数は3人であり、パラリンピックで有名になった「ボッチャ」のチーム競技は各チーム3名で行われる。
 
1 これに対して、米国のメジャーリーグでの指名打者(designated hitter:DH)制の導入の普及により、指名打者を加えて、10人でプレーする競技になったとも言われている。

数学における数字としての「3」

数字の「3」については、数学においても数多くの場面で現れてくるが、これらには先に述べた「三角形」とも関わってくるものも多い。ここでは、先に紹介した「3つのルール(3の法則)」のうちの統計に関するものを紹介しておく。

統計分析における「3の法則(Rule of three」は、「n人のサンプルで特定の事象が発生しなかった場合、0 から 3/nまでの区間が母集団での発生率の95%信頼区間である」というものである2。nが30より大きい場合、これはより感度の高いテストの結果の適切な近似値となる。

この法則は、例えば、製薬会社が新薬を発売した場合、市販後の調査で観測される有害事象の発現に関する発生率を確認するために使用される。具体的には、3,000例の症例の無作為抽出により、有害事象の発現がなかった場合、95%の確率で発現率は0.1%(3/3,000)を超えない、ということになる。
 
2 この法則においては、log 0.05 =-2.99573…… ≈-3 であることが大きな意味を有している。また、この法則については、(同じ意味合いではあるが)別の形で表現されることも多い。

3月3日は何の日

3月3日は、言わずと知れた「桃の節句(雛祭り)」である。日本ではグレゴリオ暦(新暦)の3月3日に設定されているが、江戸時代までは和暦(太陽太陰暦)の3月3日に行われており、旧暦の3月3日が桃の花が咲く時期であったことにより、「桃の節句」と呼ばれている。

それ以外には、例えば以下の記念日等となっている。一般的に同じ数字が並ぶ日は、記念日に設定されることが多いが、3月3日については、「3」という数字が多くの人に好まれている数字であると思われるのにも関わらず、「雛祭り」のイメージが強いこともあってか、あまり多くはないようだ。

耳の日:3月3日の「33」が「みみ」と読めることや、「3」が耳の形に似ていること等による。

平和の日:「女の子の健やかな成長を祝う雛祭りは平和の象徴である」との考えによる。

その他に数字の「3」が現れる例

音楽の和音は、「ド・ミ・ソ」に代表されるように3音から構成されており、これが人間の脳に心地よいものとなっているようだ。

一日3」ということで、殆どの人は、朝・昼・晩(夜)の1日3回の食事をとっている。ただし、日本で朝昼晩と3食とる習慣が広まり始めたのは、江戸時代後半といわれており、それまでは1日2食が一般的だったようだ。

三次元」は、長さと幅と高さの3つの方向の拡がりを有する空間で、人間が認識できる次元数であり、立体が3次元の図形となっている。

最後に

今回は、数字の「3」について、それが現れてくる例やその理由等について、報告してきた。

「3」という数字は、実に多くの場面で使用されている。今回紹介したもの以外にも、日常生活において、数字の「3」に接する機会は極めて多いものと思われる。例えば、中学校も高校も3年生である。1年ごとに「種まき期」、「水やり期」、「収穫期」と区分けされた「3年サイクル」という考え方も広く普及しており、企業の中期計画も3年間で設定されていたりする。

皆さんも、日常生活の中等で、「3」という数字が現れてくる場面をいくつか思い出してみてはいかがだろうか。
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中村 亮一

研究・専門分野

(2024年03月21日「研究員の眼」)

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