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「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2024年2月時点)
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/57681_ext_01_0.jpeg?v=1516671138)
金融研究部 主任研究員 吉田 資
1.はじめに
1 本稿ではAクラスビルとして三幸エステートの定義を用いる。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している。詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2021」を参照のこと。なお、オフィスレント・インデックスは月坪当りの共益費を除く成約賃料。
2.東京都心Aクラスオフィス市場の現況
賃料と空室率の関係を表した「賃料サイクル3」をみると、東京オフィス市場は2020年第3四半期以降、「空室率上昇・賃料下落」の局面が継続している(図表-5)。
2 三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発した成約賃料に基づくオフィスマーケット指標。
3 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
三鬼商事によれば、東京ビジネス地区(2023年12月時点)で「賃貸可能面積」が最も大きいエリアは、「港区(32.2%)」で、次いで「千代田区(29.0%)」、「中央区(17.8%)」、「新宿区(12.4%)」、「渋谷区(8.5%)」の順となっている(図表-6)。
「賃貸可能面積」は、「千代田区」(前年同月比▲0.4万坪)と「中央区」(同▲0.9万坪)、で減少する一方、「港区」(同+14.0万坪)、「新宿区」(同+1.0万坪)、「渋谷区」(同+2.9万坪)で増加し、合計+16.6万坪となった。これに対して、テナントによる「賃貸面積」は、「港区」(同+11.0万坪)等、すべての区で増加し、合計+19.0万坪となった(図表-7)。この結果、空室面積は、東京ビジネス地区全体で▲2.4万坪の減少となった。
以下では、(1)「オフィスワーカー数の動向」、(2)「在宅勤務の状況」、(3)「フリーアドレス4の導入状況」、(4)「オフィス環境整備の方針」について概観し、今後のオフィス需要への影響を考察する。
4 従業員が固定した自分の座席を持たず、業務内容に合わせて就労する席を自由に選択するオフィス形式。
(2024年02月09日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
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