- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2024年2月時点)
「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2024年2月時点)

金融研究部 主任研究員 吉田 資
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.はじめに
1 本稿ではAクラスビルとして三幸エステートの定義を用いる。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している。詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2021」を参照のこと。なお、オフィスレント・インデックスは月坪当りの共益費を除く成約賃料。
2.東京都心Aクラスオフィス市場の現況
賃料と空室率の関係を表した「賃料サイクル3」をみると、東京オフィス市場は2020年第3四半期以降、「空室率上昇・賃料下落」の局面が継続している(図表-5)。
2 三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発した成約賃料に基づくオフィスマーケット指標。
3 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
三鬼商事によれば、東京ビジネス地区(2023年12月時点)で「賃貸可能面積」が最も大きいエリアは、「港区(32.2%)」で、次いで「千代田区(29.0%)」、「中央区(17.8%)」、「新宿区(12.4%)」、「渋谷区(8.5%)」の順となっている(図表-6)。
「賃貸可能面積」は、「千代田区」(前年同月比▲0.4万坪)と「中央区」(同▲0.9万坪)、で減少する一方、「港区」(同+14.0万坪)、「新宿区」(同+1.0万坪)、「渋谷区」(同+2.9万坪)で増加し、合計+16.6万坪となった。これに対して、テナントによる「賃貸面積」は、「港区」(同+11.0万坪)等、すべての区で増加し、合計+19.0万坪となった(図表-7)。この結果、空室面積は、東京ビジネス地区全体で▲2.4万坪の減少となった。
以下では、(1)「オフィスワーカー数の動向」、(2)「在宅勤務の状況」、(3)「フリーアドレス4の導入状況」、(4)「オフィス環境整備の方針」について概観し、今後のオフィス需要への影響を考察する。
4 従業員が固定した自分の座席を持たず、業務内容に合わせて就労する席を自由に選択するオフィス形式。
(2024年02月09日「不動産投資レポート」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/30 | 「名古屋オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/05/16 | わが国のホテル投資市場規模(2024年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/04/17 | 「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2024年】~都心は価格上昇が加速。一方、下期にかけて南西部は伸び率鈍化、北部と東部は下落に転じる。 | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/04/08 | 良好な景況感が継続。先行きも楽観的な見方が強まる。-第21回不動産市況アンケート結果 | 吉田 資 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年06月13日
インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に -
2025年06月13日
年齢制限をすり抜ける小学生たち -
2025年06月13日
欧州保険会社が2024年のSFCR(ソルベンシー財務状況報告書)を公表(2)-SCRの算出(内部モデルの使用状況と分散効果の状況等)- -
2025年06月13日
DeepSeekに見るAIの未来 -近年のAI進化の背景とは -
2025年06月13日
株主提案による役員選任議案-フジメディア・ホールディングス
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2024年2月時点)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2024年2月時点)のレポート Topへ