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「札幌オフィス市場」の現況と見通し(2025年)
金融研究部 上席研究員 吉田 資
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- 札幌のオフィス市場では、大規模ビルの竣工に伴い需給環境はやや緩和したものの、空室率は引き続き低い水準で推移し、成約賃料は前年と同水準を維持している。一方で、今後も大規模ビルの開発が複数進行している。本稿では、札幌のオフィスの現況を概観した上で、2029年までの賃料予測を行った。
- 北海道全体の就業者数は2年連続で増加しており、人手不足感が強いなか企業の採用意欲が高まっている。以上のことを勘案すると、札幌市の「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さいと考えられる。ただし、札幌市の生産年齢人口は今後も減少が続く見通しであり、引き続き動向を注視する必要がある。
- 札幌では、コロナ禍を経てテレワークの活用が進むなか、多様な働き方に即したオフィス利用や拠点配置を検討する企業の増加が予想される。また、半導体関連投資の拡大や「金融・資産運用特区」の指定に伴い、企業進出が活発化することで、オフィス需要の拡大も期待される。
- 一方で、札幌市のオフィス需要を支えてきたコールセンターは、札幌市の新設・増設補助制度が2023年9月末をもって終了した。また、テレワークの普及等に伴い、コールセンターのビジネスモデルが大きく転換する可能性もあり、今後の新規需要が頭打ちするリスクに留意が必要である。
- 供給面では、札幌駅や大通駅周辺を中心に大規模開発計画が複数進行中である。新規供給面積は2026年まで4年連続で1万坪超の新規供給となる見通しである。
- 以上を鑑みると、札幌の空室率は上昇傾向で推移すると見込まれる。成約賃料は、需給緩和の影響を受けて、下落に転じる見通しである。2024年の賃料を100 とした場合、2025年は「100」、2026年は「97」、2029年は「95」となると予想する。ただし、2022年の賃料水準(91)を上回り、大幅な賃料下落には至らない見通しである。
■目次
1.はじめに
2.札幌オフィス市場の現況
2-1.空室率および賃料の動向
2-2.オフィス市場の需給動向
2-3.空室率と募集賃料のエリア別動向
3.札幌オフィス市場の見通し
3-1.新規需要の見通し
3-2.オフィスビルの新規供給見通し
3-3.賃料見通し
(2025年07月25日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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