2023年11月30日

回復に息切れがみえる米住宅市場-住宅ローン金利や住宅価格上昇が当面住宅需要を押し下げ。来年は金利低下が追い風となる可能性

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. 実質GDPにおける住宅投資は23年7-9月期が前期比年率+6.2%(前期:▲2.2%)と10期ぶりにプラス転換。もっとも、住宅着工件数(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比年率)は10月が▲33.3%と大幅なマイナスとなっており、早くも回復には息切れの懸念。
     
  2. 住宅販売件数は中古住宅が落ち込む一方、新築住宅が堅調を維持するなど、中古住宅と新築住宅で明暗。住宅ローン金利の上昇が住宅の買い替え需要を低下させ中古住宅販売在庫の不足が中古住宅販売の重石となる一方、中古住宅からの需要シフトが新築住宅販売を支える構図。
     
  3. 住宅価格は中古住宅販売在庫不足に伴う中古住宅の需給逼迫を背景に前月比では年初から、前年同月比でも夏場以降は上昇基調が持続しており、住宅市場に逆風。
     
  4. 住宅ローンは延滞率が低位に留まっているものの、銀行の貸出基準の厳格化が住宅需要を制約する可能性。
     
  5. 住宅ローン金利や住宅価格の上昇に伴い住宅取得のハードルが上がっているほか、今は住宅購入に相応しくないとの見方が支配的となるなど住宅購入意欲は低位に留まっているため、住宅市場は当面厳しい状況が続くとみられる。もっとも、FRBによる金融引締めが最終局面とみられる中、来年以降は金融緩和に転じることもあって、住宅ローン金利の低下が見込まれることから、住宅市場には追い風となろう。

 
(図表1)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率
■目次

1.はじめに
2.回復の息切れがみられる米住宅市場
  (住宅投資、住宅着工・許可件数)住宅投資はプラス成長も、着工件数はマイナス転換を示唆
  (中古・新築住宅販売)中古住宅と新築住宅で明暗が分かれる
  (住宅価格)中古住宅の需給逼迫を背景に上昇基調が持続
  (住宅ローン)延滞率は低位も貸出基準の厳格化が持続
3.今後の見通し

(2023年11月30日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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