- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 不動産投資市場動向(2023年第2四半期)~物流施設とホテルへの投資が増加、投資戦略は賃収増に変化
2023年08月21日
■要旨
米国の不動産市場調査会社であるMSCIリアル・キャピタル・アナリティクスによると、国内不動産市場の2023年第2四半期の不動産取引総額は前年同期比で▲13.6%とマイナスでで、市場の停滞が続いている。
とはいえ国債金利が安定し、不動産価格が下落する懸念が少ない日本の不動産市場は他国の市場に比べて相対的に取引額が多い。また、物流施設への投資需要は依然として強く、旅行需要の回復が続くホテルの取引も多くみられた。
世界の不動産投資市場では取引額の減少が続いている。2023年第2四半期の世界の不動産売買額は前年同期比▲47.4%となった。また、世界的な不動産価格の下落傾向から、不動産投資戦略は「高額であっても優良な物件に長期投資する方針」から変化し、「収益性が高まる見込みの不動産に投資して賃料を引き上げ、資産価値を向上させる方針」が主流となっている。2023年上期の外国資本による国内不動産の購入総額は▲16.2%となった。
2023年第2四半期の外国資本の国内不動産投資額における各国・地域の割合は、従来は米国が全体の4割前後を占めていたが、2021年半ばごろから米国からの投資は減少し、2023年第2四半期ではシンガポールを中心にアジア太平洋地域内からの投資が増加している。
2023年第2四半期の国内不動産投資市況は比較的安定して推移している。仮に市況が大きく転換するとすれば、従来の水準よりも下落した価格で売買が成立するようになる前に、それを見越して不動産取得資金の借入金の債権者による債権売却などの処理が発生し始めたときだろう。今後については、国内不動産を担保とする貸出債権の動向に注意したい。
■目次
・国内全体の不動産取引の動向(2023年第2四半期)
・外国資本の国内不動産購入の動向(2023年第2四半期)
・今後は国内外の貸出債権の処理動向に注意か
米国の不動産市場調査会社であるMSCIリアル・キャピタル・アナリティクスによると、国内不動産市場の2023年第2四半期の不動産取引総額は前年同期比で▲13.6%とマイナスでで、市場の停滞が続いている。
とはいえ国債金利が安定し、不動産価格が下落する懸念が少ない日本の不動産市場は他国の市場に比べて相対的に取引額が多い。また、物流施設への投資需要は依然として強く、旅行需要の回復が続くホテルの取引も多くみられた。
世界の不動産投資市場では取引額の減少が続いている。2023年第2四半期の世界の不動産売買額は前年同期比▲47.4%となった。また、世界的な不動産価格の下落傾向から、不動産投資戦略は「高額であっても優良な物件に長期投資する方針」から変化し、「収益性が高まる見込みの不動産に投資して賃料を引き上げ、資産価値を向上させる方針」が主流となっている。2023年上期の外国資本による国内不動産の購入総額は▲16.2%となった。
2023年第2四半期の外国資本の国内不動産投資額における各国・地域の割合は、従来は米国が全体の4割前後を占めていたが、2021年半ばごろから米国からの投資は減少し、2023年第2四半期ではシンガポールを中心にアジア太平洋地域内からの投資が増加している。
2023年第2四半期の国内不動産投資市況は比較的安定して推移している。仮に市況が大きく転換するとすれば、従来の水準よりも下落した価格で売買が成立するようになる前に、それを見越して不動産取得資金の借入金の債権者による債権売却などの処理が発生し始めたときだろう。今後については、国内不動産を担保とする貸出債権の動向に注意したい。
■目次
・国内全体の不動産取引の動向(2023年第2四半期)
・外国資本の国内不動産購入の動向(2023年第2四半期)
・今後は国内外の貸出債権の処理動向に注意か
(2023年08月21日「不動産投資レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/31 | 首都圏新築マンション市場の動向(2024年9月)~マンション発売戸数は今後も低水準にとどまる見通し | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/09/11 | 不動産投資市場動向(2024年上半期)~外資の取得額が減少するも、全体では高水準を維持 | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
2024/09/06 | 東京オフィス市場は賃料の底打ちが明確に。物流市場は空室率高止まり-不動産クォータリー・レビュー2024年第2四半期 | 渡邊 布味子 | 基礎研マンスリー |
2024/08/09 | 東京オフィス市場は賃料の底打ちが明確に。物流市場は空室率高止まり-不動産クォータリー・レビュー2024年第2四半期 | 渡邊 布味子 | 不動産投資レポート |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年12月13日
ECB政策理事会-3会合連続となる利下げを決定 -
2024年12月13日
インド消費者物価(24年11月)~11月のCPI上昇率は4カ月ぶりに低下、食品価格の高騰がやや緩和 -
2024年12月13日
海底資源探査がもたらす未来-メタンハイドレートと海底金属 -
2024年12月13日
日銀短観(12月調査)~景況感はほぼ横ばい、総じて「オントラック」を裏付け、日銀の利上げを後押しする内容 -
2024年12月13日
グローバル株式市場動向(2024年11月)-トランプ氏の影響で米国は上昇するが新興国は下落
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【不動産投資市場動向(2023年第2四半期)~物流施設とホテルへの投資が増加、投資戦略は賃収増に変化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
不動産投資市場動向(2023年第2四半期)~物流施設とホテルへの投資が増加、投資戦略は賃収増に変化のレポート Topへ