2023年07月28日

新築マンション市場の動向(首都圏・全国2023年6月)~最高値更新、今後は供給戸数減少が加速の見通し

金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子

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■要旨

首都圏新築マンション市場では高値更新と供給減が続いている。2023年上半期(1-6月)の平均価格は8,873万円(前年同期比+36.3%)と最高値を更新、発売戸数は1万502戸(▲17.4%)となった。
 
価格と供給の変動の程度はエリア別で異なる。10年間で東京23区の新築マンションの価格が約2.3倍になる一方で、それ以外のエリアは約1.3倍にとどまっている。今の首都圏新築マンション価格の上昇は、東京23区の新築マンション価格上昇の寄与が大きい。
 
面積と単価の戸当たり価格への影響をみると、東京23区はm2単価の上昇が価格上昇の原因となっている。面積は大きく変わっておらず、戸当たり価格の価格上昇も見かけの通りである。これに対し、東京都下・神奈川・埼玉・千葉では面積縮小が進み、新築マンションの戸当たり価格上昇の見かけ以上に価格が上昇している。
 
価格上昇が続く背景の一つには、投資需要の高まりがあるようだ。標準的な価格帯のマンションについては割高に感じる人が増えて売れ行きが鈍る一方で、市場全体の一部である立地も設備もよい高価格帯のマンションについては資金的に余裕のある人が「さらに価格が高くなる」と考えて積極的に購入し、市場全体では平均価格が引き上げられていると考える。
 
供給者側を見てみると、マンション用地の取得額は減少している。今年の下期のマンション用地取得額が前年同期の取得額を大きく上回らない限り、2、3年後の新築マンション供給戸数は減少傾向が加速する可能性が高い。今後も新築マンションの発売価格は高値水準での推移が続くだろう。

■目次

1. 首都圏新築マンション市場では高値更新と供給減が続いている
2. 新築マンションの価格は戸当たり価格の見かけ以上に上昇している
3. 住宅価格がさらに上がると思う人が買っている
4. デベロッパーは将来のマンション用地を確保できていない
5. マンション供給エリアは全国で拡大している
6. まとめ
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金融研究部   准主任研究員

渡邊 布味子 (わたなべ ふみこ)

研究・専門分野
不動産市場、不動産投資

経歴
  • 【職歴】
     2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
     2006年 総合不動産会社に入社
     2018年5月より現職
    ・不動産鑑定士
    ・宅地建物取引士
    ・不動産証券化協会認定マスター
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

    ・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員

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