米住宅着工・許可件数（23年5月）－着工件数は前月、市場予想を大幅に上回る

経済研究部主任研究員窪谷浩

1．結果の概要：住宅着工件数、許可件数は市場予想を上回る

6月20日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数（季節調整済、年率）は163.1万件（前月改定値：134.0万件）と140.1万件から下方修正された前月、市場予想の140.0万件（Bloomberg集計の中央値）を大幅に上回った（図表1、図表3）。着工件数は22年4月以来の水準となった。

着工許可件数（季節調整済、年率）は149.1万件（前月改定値：141.7万件）と141.6万件から小幅上方修正された前月、市場予想の142.5万件を上回った（図表2、図表5）。

2．結果の評価：戸建て中心に着工、許可件数ともに回復し、住宅市場の底入れを示唆

住宅着工件数の伸びは前月比+21.7％（前月：▲2.9％）と3ヵ月ぶりにプラスに転じたほか、16年10月以来の伸びとなった（図表3）。戸建てが+18.5％（前月：▲0.2％）と20年6月以来の伸びとなったほか、集合住宅も+27.1％（前月：▲7.1％）と21年3月以来の伸びとなった（図表4）。

前年同月比は+5.7％（前月：▲25.7％）と13ヵ月ぶりにプラスに転じた。内訳をみると、戸建てが▲6.6％（前月：▲28.5％）と13カ月連続でマイナスとなったものの、集合住宅が+33.2％（前月：▲20.4％）とプラスに転じて全体を押し上げた。

地域別寄与度（前月比）は、北東部が▲1.7％ポイント（前月：▲4.5％ポイント）と2ヵ月連続でマイナスとなった一方、南部が+11.4％ポイント（前月：▲5.2％ポイント）と前月からプラスに転じたほか、中西部が+8.4％ポイント（前月：+2.6％ポイント）、西部が+3.6％ポイント（前月：+4.2％ポイント）と2ヵ月連続でプラスとなった。

先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+5.2％（前月：▲1.4％）と3ヵ月ぶりにプラスに転じた（図表5）。戸建てが+4.8％（前月：+3.3％）と5ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+5.9％（前月：▲7.7％）と3ヵ月ぶりにプラスに転じた（図表6）。

前年同月比は▲12.7％（前月：▲21.1％）と前月からマイナス幅は縮小したものの、10ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲13.2％（前月：▲21.1％）と15ヵ月連続でマイナスとなったほか、集合住宅も▲12.0％（前月：▲21.0％）と3ヵ月連続のマイナスとなった。

（図表5）住宅着工許可件数（伸び率）/（図表6）住宅着工許可件数前月比（寄与度）

一方、全米建設業協会（ＮＡＨＢ）による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、6月が55（前月：50）と6ヵ月連続で改善し、好不況の境となる50を22年7月以来はじめて上回った。内訳は販売現況が61（前月：56）、販売見込みが62（前月：56）、客足が37（前月：33）といずれも前月から改善した。

ＮＡＨＢチーフエコノミストのロバート・ディーツ氏は「建設業者のセンチメントが年初から徐々に上昇し続けており、戸建て住宅建設の底が形成されつつある」と述べており、戸建て中心に住宅市場が底入れした可能性を示唆している。

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