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- 米国経済の見通し-労働市場の好調が続けばインフレ高止まりによる金融引締め長期化の可能性
2023年06月09日
■要旨
- 米国の23年1-3月期の実質GDP成長率(前期比年率)は+1.3%(前期:+2.6%)と3期連続のプラス成長も前期から成長率は低下。もっとも、在庫投資が成長率を▲2.1%ポイントと大幅に押し下げた影響が大きく、民間国内最終需要は前期比年率+2.9%(前期:横這い)と表面的な成長率が示すより、実体経済は堅調。
- 足元で雇用者数の堅調な増加が持続しているほか、個人消費も堅調な伸びを維持。もっとも、3月上旬のシリコンバレー銀行の破綻をきっかけに米国内の金融システム不安が拡大、金融不安・信用収縮が米景気のリスク要因として浮上。一方、懸念された債務上限引上げ問題は25年1月まで債務上限を不適用とする法案が超党派の支持を受けて6月2日に成立したため、米国債のデフォルトなどに伴う景気後退リスクは解消。
- 金融システミックリスクが限定的に留まるとの前提の下、足元で労働市場の堅調な回復が持続しているものの、これまでの累積的な金融引締めの影響から労働需要の低下が見込まれ、個人消費の減速などから米国経済は23年7-9月期から24年1-3月期にかけてマイルドな景気後退に陥ると予想する。成長率(前年比)は23年が+1.2%となった後、24年は景気回復に転じるものの、成長率は+0.5%に留まろう。
- 金融政策は、23年年内は政策金利を5.25%で据え置き、利下げ開始はインフレ目標の視野に入ってくる24年3月を予想。量的緩和政策は当面は現在の政策を維持しよう。
- 上記見通しに対するリスクはインフレ高進による政策金利の上振れが挙げられる。インフレ高進による政策金利の上振れは将来の深刻な景気後退リスクを高めよう。
■目次
1.経済概況・見通し
(経済概況)1‐3月期の成長率は3期連続のプラスも、前期から低下
(経済見通し)成長率は23年が前年比+1.2%、24年が+0.5%を予想
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)足元でモメンタムは強いものの、金融引締めの影響で減速へ
(設備投資)製造業需要の低迷などから年後半にマイナス成長へ
(住宅投資)足元で減速に歯止めがかかっている可能性
(政府支出、債務残高)財政責任法により、財政赤字は今後10年間で▲1.5兆ドル削減見込み
(貿易)外需の成長寄与度は足元でマイナスも成長率格差から24年にかけてプラス転換を予想
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)賃金動向がインフレ低下の鍵
(金融政策)政策金利は5.25%で年内据え置き、24年末が4.0%を予想
(長期金利)23年10-12月期平均が3.4%、24年が同2.9%への低下を予想。
1.経済概況・見通し
(経済概況)1‐3月期の成長率は3期連続のプラスも、前期から低下
(経済見通し)成長率は23年が前年比+1.2%、24年が+0.5%を予想
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)足元でモメンタムは強いものの、金融引締めの影響で減速へ
(設備投資)製造業需要の低迷などから年後半にマイナス成長へ
(住宅投資)足元で減速に歯止めがかかっている可能性
(政府支出、債務残高)財政責任法により、財政赤字は今後10年間で▲1.5兆ドル削減見込み
(貿易)外需の成長寄与度は足元でマイナスも成長率格差から24年にかけてプラス転換を予想
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)賃金動向がインフレ低下の鍵
(金融政策)政策金利は5.25%で年内据え置き、24年末が4.0%を予想
(長期金利)23年10-12月期平均が3.4%、24年が同2.9%への低下を予想。
(2023年06月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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