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- 宿泊旅行統計調査2022年12月-国内外の旅行需要は順調に回復。延べ宿泊者数の2019年同月比はコロナ前と同程度の水準に
2023年02月01日
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1. 日本人延べ宿泊者数の2019年同月比は3ヵ月連続でプラス
観光庁が1月31日に発表した宿泊旅行統計調査によると、2022年12月の延べ宿泊者数は4,703万人泊(11月:4,609万人泊)となった。前年同月比は20.0%(11月:同24.8%)となり、新型コロナウイルスの影響が出る前の2019年同月比でみると、▲0.2%(11月:同▲7.2%)と4ヵ月連続でマイナス幅が縮小し、コロナ前と同程度の水準にまで回復した。
2022年12月の日本人延べ宿泊者数は4,110万人泊(11月:4,227万人泊)となり、2019年同月比は8.3%(11月:同4.1%)と3ヵ月連続でコロナ前の水準を上回った。10月11日から開始された全国旅行支援を受けて、国内の宿泊旅行者数が順調に回復している。
2022年12月の外国人延べ宿泊者数は593万人泊(11月:382万人泊)となり、2019年同月比は▲35.4%(11月:同▲57.8%)と5ヵ月連続でマイナス幅が縮小した。2022年10月11日の水際対策緩和以降、外国人延べ宿泊者数は急回復している。
2022年12月の日本人延べ宿泊者数は4,110万人泊(11月:4,227万人泊)となり、2019年同月比は8.3%(11月:同4.1%)と3ヵ月連続でコロナ前の水準を上回った。10月11日から開始された全国旅行支援を受けて、国内の宿泊旅行者数が順調に回復している。
2022年12月の外国人延べ宿泊者数は593万人泊(11月:382万人泊)となり、2019年同月比は▲35.4%(11月:同▲57.8%)と5ヵ月連続でマイナス幅が縮小した。2022年10月11日の水際対策緩和以降、外国人延べ宿泊者数は急回復している。
2022年12月の客室稼働率は全体で53.7%(11月:同57.4%)となり、2019年同月差では▲5.0%(11月:同▲8.2%)となった。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は36.8%、2019年同月差+1.8%(11月:同▲0.2%)、リゾートホテルは51.9%、2019年同月差▲0.7%(11月:同▲3.6%)、ビジネスホテルは63.4%、2019年同月差▲8.2%(11月:同▲12.1%)、シティホテルは67.4%、2019年同月差▲8.6%(11月:同▲14.3%)、簡易宿所は22.6%、2019年同月差▲7.8%(11月:同▲8.5%)であった。2019年同月差では、旅館はプラスに転じ、それ以外のタイプの宿泊施設でもマイナス幅が縮小している。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は36.8%、2019年同月差+1.8%(11月:同▲0.2%)、リゾートホテルは51.9%、2019年同月差▲0.7%(11月:同▲3.6%)、ビジネスホテルは63.4%、2019年同月差▲8.2%(11月:同▲12.1%)、シティホテルは67.4%、2019年同月差▲8.6%(11月:同▲14.3%)、簡易宿所は22.6%、2019年同月差▲7.8%(11月:同▲8.5%)であった。2019年同月差では、旅館はプラスに転じ、それ以外のタイプの宿泊施設でもマイナス幅が縮小している。
2. 中国を除く国・地域からのインバウンド需要は引き続き回復が見込まれる
全国旅行支援の開始後、日本人延べ宿泊者数がコロナ前の水準を上回っていることから、全国旅行支援が積極的に活用されていることが推測される。2023年1月以降も全国旅行支援の活用により、日本人延べ宿泊者数は高い水準となることが見込まれる。
さらに政府は2023年1月26日に新型コロナウイルスの感染症法上の分類を、5月8日から現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針を表明した。引き下げまでまだ3ヵ月ほど期間があるが、この方針を受けて、これまで宿泊旅行を控えていた日本人は、心理的に宿泊旅行を実施しやすくなった可能性がある。
マスク着用に関するルールも緩和される予定であり、マスク着用を好まない傾向にある外国人もさらに日本を訪れやすくなると思われる。
日本への入国に際しては、有効なワクチン3回接種証明書または出国前72時間以内の陰性証明書の提出が求められるが、個人旅行の解禁、短期滞在のビザ免除再開、一日あたりの入国者数の上限撤廃など水際対策が緩和されたことに加え、為替レートは円安の水準となっており、訪日外国人旅行者数は急回復している。
インバウンド回復のカギを握るのは中国である。中国はコロナ前、日本の外国人観光客のおよそ3分の1を占めていたが、ゼロコロナ政策に伴う出国制限が続いていた。2022年末にゼロコロナ政策の緩和が発表されたものの、中国で新型コロナウイルスの感染が拡大したことを受けて、日本政府は中国からの入国者に対して規制を設けた。2023年1月12日以降、7日以内に中国に渡航歴のあるすべての人及び中国からの直行便で入国する人に対して、ワクチン接種の有無にかかわらず、出国前検査証明書の提出と到着時検査での陰性を入国の要件とするものである。このような状況のため、中国人観光客の回復にはまだ時間がかかることが予想される。
中国以外の国・地域では、順調に訪日外国人観光客数が回復しており、コロナ前と比較すると円安水準にある為替レートが追い風となって、外国人の観光需要は引き続き回復していくだろう。
さらに政府は2023年1月26日に新型コロナウイルスの感染症法上の分類を、5月8日から現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針を表明した。引き下げまでまだ3ヵ月ほど期間があるが、この方針を受けて、これまで宿泊旅行を控えていた日本人は、心理的に宿泊旅行を実施しやすくなった可能性がある。
マスク着用に関するルールも緩和される予定であり、マスク着用を好まない傾向にある外国人もさらに日本を訪れやすくなると思われる。
日本への入国に際しては、有効なワクチン3回接種証明書または出国前72時間以内の陰性証明書の提出が求められるが、個人旅行の解禁、短期滞在のビザ免除再開、一日あたりの入国者数の上限撤廃など水際対策が緩和されたことに加え、為替レートは円安の水準となっており、訪日外国人旅行者数は急回復している。
インバウンド回復のカギを握るのは中国である。中国はコロナ前、日本の外国人観光客のおよそ3分の1を占めていたが、ゼロコロナ政策に伴う出国制限が続いていた。2022年末にゼロコロナ政策の緩和が発表されたものの、中国で新型コロナウイルスの感染が拡大したことを受けて、日本政府は中国からの入国者に対して規制を設けた。2023年1月12日以降、7日以内に中国に渡航歴のあるすべての人及び中国からの直行便で入国する人に対して、ワクチン接種の有無にかかわらず、出国前検査証明書の提出と到着時検査での陰性を入国の要件とするものである。このような状況のため、中国人観光客の回復にはまだ時間がかかることが予想される。
中国以外の国・地域では、順調に訪日外国人観光客数が回復しており、コロナ前と比較すると円安水準にある為替レートが追い風となって、外国人の観光需要は引き続き回復していくだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年02月01日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1838
経歴
- 【職歴】
2021年4月 日本生命保険相互会社入社
2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
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