2023年01月24日

観光需要回復の兆し-政策の後押しを受けて、国内外の旅行需要は回復するか

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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■要旨
 
  • 日本で新型コロナウイルスが蔓延して3年が経過した。コロナ禍で減速した日本経済は回復に向かっているが、行動制限の影響を大きく受けた観光業はコロナ前の水準からは程遠い状況が続いている。
     
  • 政府はコロナ禍で消失したインバウンドを回復させるために、水際対策の緩和を段階的に進めてきた。足もとでは、訪日外国人観光客数は回復しているがコロナ前の6割程度の水準であり、コロナ前の水準に回復するにはまだ時間がかかりそうだ。
     
  • インバウンドが回復するまでの間、観光業の中心となるのは国内観光客である。国内観光需要喚起のために、政府はGoToトラベルキャンペーン、県民割、全国旅行支援を実施してきた。足もとでは、国内観光客数は急回復しているが、都道府県ごとに旅行需要の回復に差があることや、旅館・ホテルの人手不足など課題は多い。
     
  • 2022年10月11日の水際対策緩和と全国旅行支援の開始で、観光需要は回復に向かっている。新型コロナウイルスの感染者数が高止まりしていることには注意が必要だが、特別な行動制限がなければ、為替レートがコロナ前より円安の水準であること、全国旅行支援が延長されていることなどから国内外の観光需要はさらに回復していくだろう。


■目次

1――はじめに
2――観光客の現状
  1|訪日外国人旅行者数
  2|国内旅行者数
  3|旅行消費額
3――水際対策
  1|現在の水際対策の概要
  2|水際対策の問題点
  3|中国はインバウンド回復へ大きな影響を及ぼす
4――国内旅行需要喚起策
  1|政府の旅行需要喚起策の変遷
  2|全国旅行支援を受けて日本人宿泊者数は増加
  3|宿泊施設は人手不足が深刻化
  4|都道府県の差
  5|全国旅行支援の使用条件
5――おわりに

(2023年01月24日「基礎研レポート」)

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

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