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定年と生き方モデルの考察-筆者連載「セカンドライフの空洞化問題(1~5)」の(3)より
基礎研REPORT(冊子版)11月号[vol.308]
生活研究部 上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任 前田 展弘
■ 何歳まで働けるのか?
注目される「70歳までの就業確保措置(努力義務)」の実施状況であるが、法改正施行初年度では25.6%、4社に1社が実施している状況であった。ただ、この25.6%の企業に勤める人が、全員70歳まで何らかの就業等を継続できるわけではないことには留意が必要である。採用している措置の大半は「雇用継続支援」であり、条件をクリアーした一部の従業員のみがこの措置を受けられているのが実態であろう。したがって、現役からの延長線上で70歳まで働くことができる会社員等は極僅かの人たちだけであり(ざっと見積もって1割程度の人たちではないかと推測している)、多くは65歳を一つの起点として、自らの力で新たなキャリアづくりに励まなければならないのが現状と思われる。
■ 人生100年時代の生き方・活躍の仕方
筆者として理想と考えるのはパターンCのモデルである。パターンAにしてもBにしても、65歳あるいは70歳以降も、“何かをしたい”と考える高齢者は実際多い。その高齢者の多くは年金という経済基盤を手にする。そのこともあって現役当初と同じようなハードな働き方は望まないし、その必要もない。また、自宅に近いところで新たな居場所(活躍場所)を求めたいという意向が強いこともよく見聞きする。これらを踏まえれば、65歳を起点に生計就労から生きがい就労に切り替え、年齢や体力等に応じて担当する仕事の量や中身を適度に変えながら、例えば85歳くらいまで活躍し続けられるパターンCが望ましいのではないかと考える。なお、高齢者の多くは「自由にマイペースで働けること」を望んでおり、そのことからすれば、「起業」「個人事業主」「フリーランス」として活躍するパターンもニーズがあるだろう。いずれにしても、こうした様々なパターンを考えながら「どこで、いつまで、どのように活躍したいか」、できるだけ若い時から考えていくことが重要なことであろう。
* 本稿は、主に定年のある会社員、公務員等を対象に記載している。
生活研究部 上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任
前田 展弘 (まえだ のぶひろ)
研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)、超高齢社会・市場、QOL(Quality of Life)、ライフデザイン
03-3512-1878
- 2004年 :ニッセイ基礎研究所入社
2006~2008年度 :東京大学ジェロントロジー寄付研究部門 協力研究員
2009年度~ :東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員
(2022年度~ :東京大学未来ビジョン研究センター・客員研究員)
2021年度~ :慶応義塾大学ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター・訪問研究員
内閣官房「一億総活躍社会(意見交換会)」招聘(2015年度)
財務省財務総合政策研究所「高齢社会における選択と集中に関する研究会」委員(2013年度)、「企業の投資戦略に関する研究会」招聘(2016年度)
東京都「東京のグランドデザイン検討委員会」招聘(2015年度)
神奈川県「かながわ人生100歳時代ネットワーク/生涯現役マルチライフ推進プロジェクト」代表(2017年度~)
生協総研「2050研究会(2050年未来社会構想)」委員(2013-14、16-18年度)
全労済協会「2025年の生活保障と日本社会の構想研究会」委員(2014-15年度)
一般社団法人未来社会共創センター 理事(全体事業統括担当、2020年度~)
一般社団法人定年後研究所 理事(2018-19年度)
【資格】 高齢社会エキスパート(総合)※特別認定者、MBA 他
(2022年11月08日「基礎研マンスリー」)
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