- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 介護保険制度 >
- 3年に一度の介護保険制度改正の議論が本格始動-ケアプラン有料化などが焦点、科学的介護、人材不足対応も
3年に一度の介護保険制度改正の議論が本格始動-ケアプラン有料化などが焦点、科学的介護、人材不足対応も
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/56889_ext_01_0.jpeg?v=1508725548)
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
3年に一度の頻度で実施される介護保険制度の見直し論議が本格化しつつある。介護保険制度は創設から約20年を経て、総費用が3倍以上に増加。訪問介護を中心に人材不足も顕在化しつつあり、制度の持続可能性が問われている。
このため、見直し論議がスタートした社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会では今後、負担増や給付抑制に関する検討が進むと予想される。具体的には、ケアプラン(介護サービス計画)の作成を含めたケアマネジメント費(居宅介護支援費)の有料化に加え、要介護1~2の人の給付見直し、原則1割負担の利用者負担の引き上げなどが想定される。
さらに、身体的自立に着目した介護予防を強化する観点に立ち、データを重視する科学的介護の充実なども論点になると思われる。このほか、深刻な人材不足に対応するため、ICT・ロボットの活用や人員基準の見直しなども論点になると考えられる。今回は給付抑制や負担増、人材不足への対応に関する部分を中心に、年末に向けた今後の介護保険制度改正を展望する。
■目次
1――はじめに~3年に一回の介護保険の制度改正論議が本格化~
2――介護保険部会など政府の会議における議論
1|介護保険部会の議論
2|具体論の言及を避けた骨太方針の記述
3|昨年末に見直された新経済・財政再生計画改革工程表の内容
3――想定される制度改正の主な内容
1|ケアマネジメント費の有料化
2|軽度者への生活援助、福祉用具貸与の見直し
3|現役並み所得基準の見直し
4――介護予防の強化
1|科学的介護の推進
2|「通いの場」の充実など
5――人材不足への対応策
6――おわりに
(2022年06月28日「保険・年金フォーカス」)
このレポートの関連カテゴリ
関連レポート
- 介護保険制度が直面する「2つの不足」(上)-3年に一度の見直し論議が本格化へ
- 介護保険制度が直面する「2つの不足」(下)-「通い」の場や住民主体の地域づくりを巡る論点と課題
- 20年を迎えた介護保険の足取りを振り返る(下)-制度改正に共通して見られる4つの傾向
- 20年を迎えた介護保険の再考(9)地域包括ケア-多義的で曖昧な言葉遣いに要注意?
- 「小粒」に終わる?次期介護保険制度改正-ケアプラン有料化など見送り、問われる持続可能性確保
- 20年を迎えた介護保険の再考(5)ケアプランとは何か-「介護保険を受けるための計画」という誤解を解く
- ケアプランの有料化で質は向上するのか-本質は報酬体系の見直し、独立性の強化
- 20年を迎えた介護保険の再考(13)総合事業と「通いの場」-局所的な議論にとどめない工夫を
- 介護保険の自己負担、8月から最大3割に~求められる一層の財源確保、給付抑制の議論~
- 高齢者医療費自己負担2割の行方を占う-今夏の取りまとめに向けて、所得基準の線引きで調整難航か
![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/56889_ext_01_0.jpeg?v=1508725548)
03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
三原 岳のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/07/17 | 全世代社会保障法の成立で何が変わるのか | 三原 岳 | ニッセイ基礎研所報 |
2024/07/05 | 介護の「生産性向上」を巡る論点と今後の展望-報酬改定でテコ入れ、現場の業務見直し努力が重要に | 三原 岳 | 基礎研マンスリー |
2024/06/25 | 認知症基本法はどこまで社会を変えるか-当事者参加などに特色 問われる自治体や事業者の取り組み | 三原 岳 | 保険・年金フォーカス |
2024/06/12 | 2024年度トリプル改定を読み解く(上)-物価上昇で賃上げ対応が論点に、訪問介護は不可解な引き下げ | 三原 岳 | 基礎研レポート |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年07月26日
職場における温度、匂い、音等は、どういう人がシンドイと思っているのか -
2024年07月26日
米GDP(24年4-6月期)-前期比年率+2.8%と前期から大幅上昇、市場予想の+2.0%も大幅に上回る -
2024年07月26日
お金の流れでみる日本経済 -
2024年07月25日
消えた580兆円~住宅投資をしても残高の増加は限定的~日本の住宅投資はなぜ「資産化」しないのか~ -
2024年07月24日
中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【3年に一度の介護保険制度改正の議論が本格始動-ケアプラン有料化などが焦点、科学的介護、人材不足対応も】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
3年に一度の介護保険制度改正の議論が本格始動-ケアプラン有料化などが焦点、科学的介護、人材不足対応ものレポート Topへ