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- 米個人所得・消費支出(22年4月)-個人消費(前月比)は年初からの堅調な伸びが続いていることを確認
2022年05月30日
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1.結果の概要:個人所得は市場予想を下回る一方、個人消費は予想を上回る
5月27日、米商務省の経済分析局(BEA)は4月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.4%(前月:+0.5%)と前月を下回った一方、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.5%に一致した(図表1)。個人消費支出は前月比+0.9%(前月改定値:+1.4%)と+1.1%から上方修正された前月を下回った一方、市場予想の+0.8%を上回った。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は+0.7%(前月改定値:+0.5%)とこちらは+0.2%から上方修正された前月を上回った一方、市場予想の+0.7%に一致した(図表5)。貯蓄率1は4.4%(前月:5.0%)と前月から▲0.6%ポイント低下した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.9%)と前月から大幅に低下、市場予想(+0.2%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.3%(前月:+0.3%)と前月、市場予想(+0.3%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+6.3%(前月:+6.6%)と前月を下回った一方、市場予想(+6.2%)は上回った。コア指数は+4.9%(前月:+5.2%)とこちらは前月を下回った一方、市場予想(+4.9%)に一致した(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.9%)と前月から大幅に低下、市場予想(+0.2%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.3%(前月:+0.3%)と前月、市場予想(+0.3%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+6.3%(前月:+6.6%)と前月を下回った一方、市場予想(+6.2%)は上回った。コア指数は+4.9%(前月:+5.2%)とこちらは前月を下回った一方、市場予想(+4.9%)に一致した(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:堅調な個人消費が持続

一方、個人所得は増加基調が持続しているものの、経済対策の期限切れに伴う移転所得の減少などもあって、22年以降は消費の伸びを下回った。この結果、貯蓄率は4ヵ月連続で低下し、08年8月(3.8%)以来の水準となった。このため、家計は物価上昇に伴い実質購買力が低下する中、貯蓄を取り崩して消費に回している状況が浮き彫りとなっている。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、エネルギー価格の伸びが鈍化したこともあって、総合指数が20年11月以来、17ヵ月ぶりに前月から低下した。また、物価の基調を示すコア指数は2ヵ月連続で低下しており、既に物価上昇圧力がピークアウトした可能性を示唆している。
3.所得動向:賃金・給与の堅調な伸びが持続
4月の個人所得(前月比)は、労働需給の逼迫を背景に賃金・給与が+0.6%(前月:+0.7%)と前月から鈍化したものの、堅調な伸びを維持したほか、利息配当収入が+0.8%(前月:+0.5%)と前月から伸びが加速した(図表2)。一方、自営業者所得が▲0.5%(前月:+0.9%)と前月からマイナスに転じたほか、経済対策の期限切れに伴い移転所得も▲0.0%(前月:+0.2%)と伸びが鈍化した。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、4月の名目が+0.3%(前月:+0.4%)と前月から伸びが鈍化した(図表3)。これで伸びの鈍化は3ヵ月連続となった。また、価格変動の影響を除いた実質ベースでは横這い(前月:▲0.5%)とこちらは小幅ながらプラスに転じた(図表3)。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、4月の名目が+0.3%(前月:+0.4%)と前月から伸びが鈍化した(図表3)。これで伸びの鈍化は3ヵ月連続となった。また、価格変動の影響を除いた実質ベースでは横這い(前月:▲0.5%)とこちらは小幅ながらプラスに転じた(図表3)。
4.消費動向:自動車・自動車部品の伸びが加速
4月の名目個人消費(前月比)は、財消費が+0.8%(前月:+1.9%)、サービス消費が+0.9%(前月:+1.1%)といずれも前月から伸びが鈍化した(図表4)。
財消費は、耐久財が+2.4%(前月:+0.5%)と前月から伸びが加速した一方、非耐久財が▲0.1%(前月:+2.7%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
耐久財では、娯楽財・スポーツカーが+1.8%(前月:▲0.8%)と前月からプラスに転じたほか、自動車・自動車部品が+4.2%(前月:+1.2%)、家具・家電が+1.2%(前月:+0.6%)と前月から伸びが加速した。
非耐久財では、衣料・靴が+1.3%(前月:+1.1%)と前月から伸びが小幅ながら加速した一方、食料・飲料が横這い(前月:+1.1%)と伸びが鈍化したほか、ガソリン・エネルギーが▲5.3%(前月:+15.8%)と前月に2桁の伸びとなった反動もあってマイナスに転じて、非耐久財消費全体を押し下げた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.8%(前月+0.6%)、外食・宿泊が+2.0%(前月:+1.9%)と前月から伸びが加速したほか、金融サービスが+0.4%(前月:+0.4%)と前月並みの伸びを維持した。一方、輸送サービスが+3.1%(前月:+5.1%)、娯楽が+1.5%(前月:+2.3%)、医療サービスも+0.1%(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化するなど、マチマチの結果となった。
財消費は、耐久財が+2.4%(前月:+0.5%)と前月から伸びが加速した一方、非耐久財が▲0.1%(前月:+2.7%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
耐久財では、娯楽財・スポーツカーが+1.8%(前月:▲0.8%)と前月からプラスに転じたほか、自動車・自動車部品が+4.2%(前月:+1.2%)、家具・家電が+1.2%(前月:+0.6%)と前月から伸びが加速した。
非耐久財では、衣料・靴が+1.3%(前月:+1.1%)と前月から伸びが小幅ながら加速した一方、食料・飲料が横這い(前月:+1.1%)と伸びが鈍化したほか、ガソリン・エネルギーが▲5.3%(前月:+15.8%)と前月に2桁の伸びとなった反動もあってマイナスに転じて、非耐久財消費全体を押し下げた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.8%(前月+0.6%)、外食・宿泊が+2.0%(前月:+1.9%)と前月から伸びが加速したほか、金融サービスが+0.4%(前月:+0.4%)と前月並みの伸びを維持した。一方、輸送サービスが+3.1%(前月:+5.1%)、娯楽が+1.5%(前月:+2.3%)、医療サービスも+0.1%(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化するなど、マチマチの結果となった。
5.価格指数:エネルギー価格(前月比)は21年5月以来、11ヵ月ぶりに下落
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(2022年05月30日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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