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コロナ禍における子育て不安(2)-不安が強いのは緊急事態宣言発出地域の小学生や高校生の親

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 地域(2021年9月13日~31日時点の緊急事態宣言等の発出の有無)別に見ると、不安層の割合は、いずれの地域でも「式典や行事の縮小・中心による経験不足」や「遊び場不足によるストレス」が半数を超えて上位にあがるほか、まん延防止等重点措置の発出地域では「家で過ごす機会が増えネット使用時間が長くなる」も上位にあがる。
- 緊急事態宣言発出地域では発出無しの地域と比べて、おおむね不安が強く、特に「登校機会減少による生活リズムの乱れ」の不安が強いほか、「オンライン教育による教育格差」や「家で過ごす機会が増えゲーム時間が長くなる」、「子どもからの家庭内感染」などの不安もやや強い。背景には休校や短縮授業等の対応をとった学校が比較的多いことがあるようだ。
- 緊急事態宣言発出地域について地方別に見ると、関東や中部、近畿では広島・福岡・沖縄と比べておおむね不安が強い。ただし、必ずしも休校等の対応を取る学校が多い地方で親の不安が強いわけではないため、東京や大阪、名古屋など、より人口密度が高く感染者数の規模が大きな大都市を含むかどうかなどの影響が大きな印象を受ける。
- 緊急事態宣言発出地域についてライフステージ別に見ると、前稿と同様、未就学児など比較的低年齢の子どもの親では「遊び場不足によるストレス」や「子どもからの家庭内感染」が、学校に通う子どもの親では「式典や行事の縮小・中止による経験不足」や「登校機会減少による生活リズムの乱れ」、「オンライン教育増加による教育格差」などの不安が強い。
- また、緊急事態宣言発出地域の小学生や高校生の親では比較的多方面において不安が強い傾向がある。また、大半がワクチン接種対象外の小学生の親では感染不安が、小・中学生や他地域の高等学校と比べて休校等の対応が多かった高校生の親で登校機会の減少から派生する不安が強い傾向も見て取れる。
■目次
1――はじめに~コロナ禍で親の抱える不安、地域別の違いは?
2――地域別に見たコロナ禍における子どもに関わる不安
~大都市を含む緊急事態宣言発出地域で強い
1|地域別の状況
~休校等の多い緊急事態宣言発出地域で生活リズムの乱れなどの不安が強い
2|緊急事態宣言等発出地域の地方別の状況
~不安の強さは人口密度や感染者数の規模などが影響か
3|緊急事態宣言等発出地域のライフステージ別の状況
~比較的不安が強いのは大半がワクチン接種対象外の小学生と休校等の多い高校生の親
3――まとめ
~緊急事態宣言発出地域で不安は強く、子どもの年齢や人口密度、感染者数の規模も影響か
(2021年10月29日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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