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「コロナ慣れ」と感染不安の弱まり-感染再拡大の一方、冬をピークに弱まる感染不安

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- ニッセイ基礎研究所の調査によると、20~60歳代の感染不安(自分や家族の感染による健康状態悪化への不安)は、昨年12月下旬の感染拡大第三波の頃に実施した第三回調査時点で最も強く、3月下旬の最新の第四回調査では弱まっている。なお、昨年10月下旬実施の第二回調査時点と比べて第四回調査時点では感染者数の規模は約4倍に拡大しているにも関わらず、感染不安はやや弱まっている。
- 昨秋より感染不安が弱まっている要因として、ポジティブな面では感染防止対策の習慣化や検査体制の充実、治療のノウハウの確立があげられる。一方で医療体制がひっ迫しているにも関わらず、感染しても適切な治療が受けられない不安まで弱まっている状況を見ると、危機意識の低下による「コロナ慣れ」というネガティブな面も指摘できる。
- 属性別に感染不安の強さを見ると、コロナ禍で帰省の難しい大学生の子がいる層や、感染予防対策の徹底が難しい低年齢児のいる層、感染による重篤化リスクが高まるシニア層、飲食業など在宅勤務の難しい業種の従事者の多いパート・アルバイト層などで強くなっている。
- 属性別に昨秋と3月下旬の感染不安の強さを比べると、元々不安の弱い独身の若者では一層弱まっている。低年齢児のいる層やシニア層など当初より感染不安が強い層でも弱まっているが、全体と比べれば未だ不安は強い状況が維持されている。また、3月下旬にかけて近畿地方などで感染不安の弱まりが目立つが、この時期は大阪など6府県で二度目の緊急事態宣言が解除された後、人出が増えていた時期である。
- 現在、東京や大阪、京都、兵庫に再び緊急事態宣言が発出された。また、全国の感染者数は累計55万人を超え、死亡者数は1万人に届く勢いで伸びている。今あらためて私達一人一人が自分自身や大切な人の命を守るという意識を高め、社会の構成員として感染を拡大させないように、命を守る行動に努める必要がある。
■目次
1――はじめに~コロナ禍1年で様々な政策が発動、危機意識の薄れで「コロナ慣れ」も?
2――感染拡大状況と感染不安の関係~冬をピークに弱まる感染不安、「コロナ慣れ」の影響も
1|全体の状況
~感染者数の規模は数倍にも関わらず弱まる感染不安、「コロナ慣れ」の影響も
2|属性別の状況
~感染不安の弱い若者だけでなく、感染不安の強い子育て層やシニア層でも弱まる不安
3――おわりに~あらためて「命を守る行動」を
(2021年04月23日「基礎研レター」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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