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コロナ禍における子育て不安(1)-感染や経験不足など不安が強いのは小学生の親、父親より母親
生活研究部 上席研究員 久我 尚子
- 9月下旬の調査で、コロナ禍で親が感じる子ども関連の不安のうち、不安層の割合が半数を超えるのは「式典や行事の縮小・中止による経験不足」(58.6%)や「遊び場不足によるストレス」(56.6%)、「登校機会減少による生活リズムの乱れ」(55.6%)、「オンライン教育増加による教育格差」(53.9%)、「子どもからの家庭内感染」(51.7%)(数値は独立した子どもを持つ親を除く、子育て世代の値)。
- 子どもの年齢(ライフステージ)別に見ると、未就学児などワクチン接種対象外の子どもの親では感染不安が強いほか、子育てに手がかかるために休校等による仕事への支障などへの不安が強い。一方、学校へ通う子どものいる親ではコロナ禍で学校生活が変わることによる子どもの教育や経験に対する悪影響への不安が強い。
- 比較的多方面に不安が強いのは小学生の親であり、背景には大半がワクチン接種対象外であること、第一子の小学生の子に加えて、さらに幼く子育てに手のかかる第二子以降の子もいる親も少なくないであろうこと、コロナ禍における経験不足などが今後の人生における経験や記憶に影響を与え始める年代であろうことなどが考えられる。
- 子どもの年齢によらず父親より母親の方が不安は強く、やはり小学生の母親で比較的多方面において不安が強い。男女の家事・育児・介護時間は年代別に見ても、共働き世帯や専業主婦世帯別に見ても、女性が男性を大幅に上回っており、日頃から主な育児の担い手である母親の方がコロナ禍における子ども関連の不安も強い。
- 感染拡大下の今年9月の新学期は、全国一斉休校とはならずに感染状況に応じて自治体が判断し、大きな混乱は生じなかったようだ。学校側や生活者側のノウハウが蓄積され、当初よりコロナ禍の日常生活をスムーズに進められるようになったが、親は様々な面で不安を感じている。「今」の子どもの生活だけでなく、行事などの経験不足や急速に進展したオンライン教育などの影響が「将来」どのような形で表出されるのかも懸念される。
■目次
1――はじめに
~感染力の強い変異種による感染拡大下で始まった新学期、親の不安の状況は?
2――コロナ禍における子どもに関わる不安
1|全体の状況~9月調査で不安層が多いのは「行事等縮小による経験不足」や「生活リズムの
乱れ」
2|ライフステージ別の状況~感染や経験不足をはじめ多くの面で不安が強いのは小学生の親
3|男女(父親・母親)別・ライフステージ別の状況~不安が強いのは育児の主な担い手である
母親
3――まとめ
~これまでの経験から大きな混乱なく新学期が始まったが、親は子どもの「今」も「将来」も不安
(2021年10月27日「基礎研レター」)
03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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