2021年07月26日

ワクチン接種後にやりたいこと-圧倒的に国内旅行、経済的余裕や子育て中など家庭環境で違いも

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • 圧倒的に多いのは「国内旅行」で過半数を占め、次いで、「外食」、「友人と会う」、「店舗でのショッピング」、「帰省・離れて暮らす家族と会う」と続く。なお、「海外旅行」は2割弱にとどまる。ワクチンパスポートの受付が始まるとはいえ、各国の状況は様々であり、まずは身近なところから外出型の消費行動を再開する消費者が多いようだ。
     
  • 属性別に見ても首位は「国内旅行」である。女性は男性を上回る項目が多く、期待感が強い。特に女性では「友人と会う」や「店舗でのショッピング」、「帰省・離れて暮らす家族と会う」、「舞台やコンサート、ライブ鑑賞」で高い。また、外出自粛傾向の強い高齢層でも全体を上回る項目が多く、期待感が強い。なお、若い年代では「外食」や「遊園地など屋外レジャー施設の利用」が高い。
     
  • 子育て世帯では「国内旅行」や「遊園地などの屋外レジャー施設の利用」が高く、我慢の多い生活の中で、ワクチン接種後は子どもを楽しませてあげたいという親の気持ちが見えるようだ。また、子ども(孫)が誕生した世帯や大学生のいる世帯で「帰省・離れて暮らす家族と会う」が高い。
     
  • 世帯年収別には1,000万円付近を中心に全体を上回る項目が目立ち、特に「海外旅行」は全体の2倍を占めて、消費意欲が旺盛な様子がうかがえる。ワクチン接種完了および完了間近な層、積極的な層では全体を上回る項目が多いものの、世帯年収別やライフステージ別ほど顕著ではないため、ワクチン接種後の消費行動は、経済的な余裕や子どもがいるなど家庭の環境による影響が大きいと見られる。
     
  • 自由記述の回答では、「カラオケ」や「ボランティア」、「自由に行動する」など、コロナ禍で自粛している外出行動の再開のほか、「変異株の懸念があるために様子見」との慎重な見方もあった。現在のワクチン接種が進むことで、感染不安が緩和され、消費行動は活発化していくと見られるが、それはどの程度の水準で、いつまで続くものなのか。継続的な調査を用いて引き続き注目していく予定だ。


■目次

1――はじめに~ワクチン接種が進む中で、接種後にやりたいことは?
2――ワクチン接種後にやりたいこと
  ~圧倒的に多いのは国内旅行、次いで外食、友人と会う、ショッピング
3――属性別に見たワクチン接種後にやりたいこと
  1|性年代別
   ~女性やシニアで期待感が強い、若者は外食やレジャーが多いが接種しないも多い
  2|ライフステージ別
   ~子育て世帯で旅行やレジャー、第一子誕生や大学生のいる世帯で帰省が多い
  3|世帯年収別~世帯年収1,000万円付近を中心に消費意欲旺盛、海外旅行も全体の2倍
  4|ワクチン接種状況・意向別~接種完了や間近な層、積極層で国内旅行が高い
4――おわりに
  ~自粛している外出行動再開の一方、変異種の懸念で様子見も。引き続き調査で注目。
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
     2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
     2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
     2021年7月より現職

    ・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
    ・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
    ・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
    ・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
    ・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
    ・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
    ・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
    ・総務省「統計委員会」委員(2023年~)

    【加入団体等】
     日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
     生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society

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