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グリーンボンドとは?-要は環境問題に対する共通認識

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
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1――グリーンボンドって何?

2――グリーンボンドって名乗ったもの勝ちなの?
GBPでは、『投資家等が個々のグリーンボンドの特性を正しく理解する』ために、『発行体による透明性が高く、正確でかつ完全な情報の開示』を重視する。GBPには『発行体による透明性が高く、正確でかつ完全な情報の開示』に求められる具体的な内容も示されている。例えば、どのようなプロジェクトに資金が利用されるのか、そのプロジェクトの目標や、グリーンプロジェクトに適合しているという判断に至ったプロセス等の開示の他、資金の適切な管理、定期的なプロジェクトの進捗情報等の報告が求められる。しかし、『発行体による透明性が高く、正確でかつ完全な情報の開示』はあくまで手段でしかない。その手段を用いる目的は『投資家等が、個々のグリーンボンドの特性を正しく理解する』ことである。投資家等が正しく理解することで、グリーンボンド市場の健全性を保つことができると考えられるからである。投資家等がグリーンボンドの内容を正しく理解できるのであれば、環境問題の解決にさほど貢献しないのにグリーンボンドと言い張る、悪意ある発行体に対する資金の提供(グリーンボンドの購入)を拒絶するという対抗策をとれるからだ。
このようなことが無いことを願うが、真に地球環境の維持・改善効果があるプロジェクトであっても、環境問題としての認識を持ち、そのプロジェクトの価値を理解できる投資家が数多くいなければ、グリーンボンドの発行により必要な資金を調達することができない。実質的にグリーンボンドの範囲を決めるのは投資家等であると言っても過言ではないだろう。もちろん、外部機関に、グリーンボンドとしての適切性を客観的に評価してもらうといった補完的方法も推奨されている。しかし、グリーンボンド市場の健全性維持、しいては地球環境の維持・改善のために、投資家等が担う役割は極めて大きい。
3――グリーンボンド発行実績から読み取る環境問題に対する関心の広がり
グリーンビルディングとは、建物の設計、建設、運用の各段階において、自然環境への悪影響を排除・軽減するように配慮する環境性能の高い建物を指す2。当然ながら、再生可能エネルギーの活用やエネルギーの効率利用等、温室効果ガスの排出量削減を目指す取り組みも含まれるが、建物の建築中および竣工後における水の効率的使用や廃棄物の削減対策・再利用の促進等、幅広い環境問題の解決に取り組むものである。一方、クリーンな輸送の代表例は、電気自動車の促進や、各人が自動車で移動する場合と比べて、温室効果ガスの排出量が少ない公共交通の建設等であり、温室効果ガスの排出量削減が中心である。しかし、日本郵船や商船三井が発行したグリーンボンドは、船舶の運航に伴う生態系への影響を軽減する取り組みや、船舶の排気ガスに含まれる汚染物質の排出を抑制する取り組みにも活用されている3。とりわけ先進国において顕著な建物や輸送の割合増加から、事業者や投資家等がより多様な環境問題に関心を持ち始めた様子が伺える。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年08月04日「基礎研レター」)

03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
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