2021年06月17日

所有者不明土地への諸対策(3)-相続財産の管理

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

相続人がいる際の相続財産の管理は相続人が行うことが原則である。ただし、相続開始から熟慮期間(相続開始から3か月)は相続財産の管理人を置くことができる。また、相続人がいないときは、相続財産は法人となって、やはり管理人が置かれる。
 
相続人がいる場合において、限定承認(相続債務の範囲内で財産を相続)した場合、あるいは相続放棄をした場合には、それぞれ相続財産の管理人が置かれる。なお、相続放棄の場合は、他に相続人が表れて管理を引き継ぐか、相続財産管理法人ができるまでは相続放棄者が管理を継続しなければならない。
 
熟慮期間を過ぎて単純承認(財産も債務もすべて相続する)になった場合において、対象となる不動産を取得する相続人が定められればその相続人が当然管理する必要がある。他方、遺産分割がなされない間には、相続人が管理するとされるが、管理不全の場合に管理人を選任するという方策がない。
 
今回の民法改正では、熟慮期間経過後の単純承認の場合にも管理人を置くことができることとした。また、相続放棄の場合に管理義務を負う相続放棄者は、対象不動産を占有している者に限ることとされた。

■目次

1――はじめに
2――問題の所在
  1|相続財産の管理
  2|相続財産の管理不全
  3|限定承認後・相続放棄後の財産管理
3――新しい相続管理制度
  1|相続財産の管理制度の修正
  2|相続放棄した者が管理義務を負う場合の限定
4――おわりに
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保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

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