2021年02月22日

新型コロナ「特措法・感染症法等」改正でどう変わったか-2021年2月13日に施行された改正法の概要

保険研究部 専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

文字サイズ

■要旨

2021年2月3日、感染症法や新型インフルエンザ等特措法等を一括して改正する法律が国会で可決、成立し、即日公布された。施行は2月13日である。
 
改正感染症法のポイントは、(1)積極的疫学調査の実効化、(2)入院措置についての改正、(3)厚生労働大臣と都道府県知事の権限強化である。(1)の積極的疫学調査の強化については患者(無症状の感染者等を含む)に対して協力に応ずべき義務を課すこととした。また、(2)新型コロナ患者のうちで重症化の懸念がある人に対して入院勧告・入院措置をとることができるとされ、自宅療養・宿泊療養に応じない患者に入院勧告・入院措置ができるとされた。入院勧告・入院措置による入院期間中に逃げたときなどは過料が課される。さらに(3)厚生労働大臣と都道府県知事間の情報共有などの権限が付与され、医療機関・検査機関に対する協力勧告・勧告に従わない場合の公表を行うことができるものとした。
 
改正特措法のポイントは、(1)まん延防止等重点措置制度の導入、(2)緊急事態宣言に基づく営業自粛要請に従わない事業者に対する措置命令、(3)新型インフルエンザ等の影響を受けた事業者に対する財政上の支援である。(1)のまん延防止等重点措置は限定された区域でのまん延で公示することができる一方、営業時間短縮といった比較的軽度の措置のみが取れる制度を導入した。(2)の事業者に対する措置命令は、緊急事態宣言に基づく営業停止措置などを命ずることができるとし、命令違反に対して過料を課すことができるとした。(3)の事業者に対する財政上の支援は新型インフルエンザ等および新型インフルエンザ等によりとられた措置により影響を受けた事業者を支援する義務を国と地方自治体に対して課したものである。
 
当面の対応として法的な手当てができたものと評価できるが、たとえば日本国内で新種の新型インフルエンザ等が初めて発生したような場合に対応できるかは今後の課題として残されている。

■目次

1――はじめに
2――感染症法の改正
  1|感染症法の概要
  2|改正感染症法の概要
3――特措法の改正
  1|特措法の概要
  2|改正特措法の概要
4――検討-刑事罰か行政罰か
5――おわりに
Xでシェアする Facebookでシェアする

保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2024年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【新型コロナ「特措法・感染症法等」改正でどう変わったか-2021年2月13日に施行された改正法の概要】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

新型コロナ「特措法・感染症法等」改正でどう変わったか-2021年2月13日に施行された改正法の概要のレポート Topへ