2021年02月19日

米住宅着工・許可件数(21年1月)-着工件数は前月から減少も、許可件数は06年5月以来の高水準となり、好調を維持

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工件数は前月、市場予想を下回る一方、許可件数は前月、予想を上回る

2月18日、米国センサス局は1月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は158.0万件(前月改定値:168.0万件)と166.9万件から上方修正された前月を下回ったほか、市場予想の166.0万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は188.1万件(前月改定値:170.4万件)と、170.9万件から小幅下方修正された前月、市場予想の168.0万件を大幅に上回った(図表2、図表5)。許可件数は06年5月(190.4万件)以来の水準である。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数は減少も、許可件数の好調から堅調な住宅市場を確認

住宅着工件数の伸びは、前月比▲6.0%(前月:+8.2%)と5カ月ぶりのマイナスとなった(図表3)。内訳をみると、集合住宅が前月比+17.1%(前月:▲4.0%)と前月からプラスに転じた一方、戸建てが▲12.2%(前月:+12.0%)と9ヵ月ぶりにマイナスに転じて全体を押し下げた(図表4)。

前年同月比では▲2.3%(前月:+5.9%)とこちらも5ヵ月ぶりのマイナスとなった。戸建てが+17.5%(前月:+26.4%)と7カ月連続で2桁の伸びを維持した一方、集合住宅が▲33.4%(前月:▲33.9%)となり、全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+0.2%ポイント(前月:▲0.8%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、中西部が▲1.8%ポイント(前月:+4.1%ポイント)、南部が▲1.3%ポイント(前月:+2.9%ポイント)、西部が▲3.0%ポイント(前月:+2.0%ポイント)と前月からマイナスに転じた。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+10.4%(前月:+4.2%)と3ヵ月連続のプラスとなった(図表5)。戸建てが+3.8%(前月:+7.6%)と9ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅が+27.2%(前月:▲3.4%)と前月からプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+22.5%(前月:+17.0%)と7ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+29.9%(前月:+30.1%)と7ヵ月連続で2桁のプラスとなったほか、集合住宅も+9.5%(前月:▲7.0%)と前月からプラスに転じた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、2月が84(前月:83)と前月比+1ポイントとなり、85年の統計開始以来4番目の高さと好調を維持している(図表7)。

指数の内訳は販売見込みが80(前月:83)と前月から低下した一方、販売現況が90(前月:90)と前月から横ばい、客足が72(前月:68)と前月から増加するなど、まちまちの動きとなった。

2月の着工件数は減少したが、戸建て中心に許可件数は堅調を維持しており、住宅市場指数と併せて住宅市場の堅調さを確認する結果と言えよう。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2021年02月19日「経済・金融フラッシュ」)

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