2021年02月01日

米個人所得・消費支出(20年12月)-個人消費(前月比)は▲0.2%と2ヵ月連続減少も市場予想(▲0.4%)は上回る

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.結果の概要:個人所得、個人消費ともに市場予想は上回る

1月29日、米商務省の経済分析局(BEA)は12月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.6%(前月改定値:▲1.3%)と▲1.1%から下方修正された前月からプラスに転じたほか、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.1%を上回った(図表1)。個人消費支出は前月比▲0.2%(前月改定値:▲0.7%)と▲0.4%から下方修正された前月から2ヵ月連続でマイナスとなったものの、前月、市場予想(▲0.4%)は上回った。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は▲0.6%(前月改定値:▲0.7%)とこちらは▲0.4%から下方修正された前月は上回ったものの、市場予想(▲0.6%)に一致した(図表5)。貯蓄率1は13.7%(前月:12.9%)と、前月から+0.8%ポイント増加した。

価格指数は、総合指数が前月比+0.4%(前月:横這い)となり、前月、市場予想(+0.3%)を上回った。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数も前月比+0.3%(前月:横這い)とこちらも前月、市場予想(+0.1%)を上回った(図表6)。前年同月比は総合指数が+1.3%(前月:+1.1%)と前月、市場予想(+1.2%)を上回った。コア指数も+1.5%(前月:+1.4%)と前月、市場予想(+1.3%)上回った(図表7)。
 
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

2.結果の評価:個人消費が2ヵ月連続減少も来月以降は回復へ

(図表1)個人所得・消費支出、貯蓄率 12月の名目個人消費は前月比でマイナス幅が市場予想を下回ったものの、2ヵ月連続でマイナスとなり、新型コロナで落ち込んだ後の5月から続く消費回復が一服する状況となった(図表1)。

もっとも、所得面では12月下旬に決まった追加経済対策に伴い、失業保険の追加給付などで個人所得が前月から増加に転じたほか、1月以降も同経済対策に盛り込まれた家計向けの直接給付でさらに所得が増加することが見込まれている。また、新型コロナの1日の新規感染者数が1月上旬の25万人から足元では15万人程度に減少してきており、一部の州では再び経済活動制限を緩和する動きがみられていることなどを考慮すると来月以降は個人消費が持ち直すと予想される。

一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数、コア指数ともに3ヵ月ぶりに上昇に転じた。もっとも、FRBの物価目標(2%)を大幅に下回っているほか、12月に発表されたFRBの物価見通しでも23年末に漸く2%に到達するとの見方が示されており、物価目標の達成には依然相当時間を要するとみられる。

3.所得動向:失業保険の追加給付復活から移転所得が増加

12月の個人所得は、賃金・給与所得が前月比+0.5%(前月:+0.4%)、利息配当収入が+2.0%(前月:+1.2%)と前月から伸びが加速した(図表2)。また、移転所得が+2.3%(前月:▲3.5%)と前月から大幅なプラスに転じ全体を押し上げた。移転所得は12月下旬に成立した追加経済対策法(CRRSA Act.)に盛り込まれた週当たり300ドルの失業保険の追加給付により、前月比年率で+483億ドル増加するなどで大幅な増加に転じた。

自営業者所得は▲4.5%(前月:▲10.4%)と2ヵ月連続でマイナスとなった。これは給与保護プログラム(PPP)実行額の低下に伴い農業部門で前月比年率▲16億ドル減少したほか、非農業部門向けで▲522億ドル減少したことが大きい。

一方、個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、12月の名目が+0.6%(前月:▲1.5%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが+0.2%(前月:▲1.5%)となり、名目、実質ともに3ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表3)。
(図表2)名目個人所得(前月比寄与度)/(図表3)可処分所得(名目、実質)

4.消費動向:前月比で財消費は減少もサービス消費は小幅に増加

12月の名目個人消費(前月比)は、財消費が▲0.8%(前月:▲1.4%)3ヵ月連続でマイナスとなった一方、サービス消費は+0.1%(前月:▲0.3%)と小幅ながらプラスに転じた(図表4)。

財消費では、耐久財が▲1.0%(前月:▲2.6%)と2ヵ月連続、非耐久財は▲0.7%(前月:▲0.7%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。

耐久財では、自動車・自動車部品が+2.9%(前月:▲3.2%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた一方、家具・家電が▲2.7%(前月:▲2.1%)、娯楽財・スポーツカーが▲3.8%(前月:▲2.1%)といずれも2ヵ月連続のマイナスとなった。

非耐久財では、ガソリン・エネルギーが+7.5%(前月:▲1.1%)と前月からプラスに転じる一方、衣料・靴が▲1.6%(前月:▲4.4%)と3ヵ月連続でマイナスとなったほか、食料・飲料が▲1.7%(前月:+0.7%)と前月からマイナスに転じた。

サービス消費は外食・宿泊が▲4.1%(前月:▲3.4%)と前月からマイナス幅が拡大したほか、医療サービスが▲0.6%(前月:+0.8%)とマイナスに転じた。一方、輸送サービスが+0.2%(前月:▲2.3%)、住宅・公共料金も+0.9%(前月▲0.6%)とプラスに転じるなどマチマチとなった。
(図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質)

5.価格指数:エネルギー価格が前月比で物価を押し上げ

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+4.2%(前月:+0.4%)と7ヵ月連続のプラスとなったほか、前月から伸びが大幅に加速した(図表6)。また、食料品価格指数は+0.2%(前月:▲0.2)と前月からプラスに転じた。

前年同月比では、エネルギー価格指数が▲7.6%(前月:▲9.9%)と10ヵ月連続のマイナスとなった(図表7)。一方、食料品価格指数は+3.9%(前月:+3.9%)と、こちらは17年7月以来42ヵ月連続のプラスとなった。
(図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比)
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2021年02月01日「経済・金融フラッシュ」)

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