2021年01月22日

米住宅着工・許可件数(20年12月)-着工、許可件数ともに市場予想を上回る伸び、戸建て主導の回復が継続

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工、許可件数ともに前月から増加、市場予想も上回る

1月21日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は166.9万件(前月改定値:157.8万件)と154.7万件から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想の156.0万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は170.9万件(前月改定値:163.5万件)と、163.9万件から小幅下方修正された前月、市場予想の160.8万件を上回った(図表2、図表5)。

着工件数は06年9月(172.0万件)、許可件数は06年8月(172.2万件)以来の水準である。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建て主導の回復が持続。20年10-12月期の住宅投資は2桁の伸びへ

住宅着工件数の伸びは、前月比+5.8%(前月:+3.1%)と4ヵ月連続のプラスとなった(図表3)。内訳をみると、集合住宅が前月比▲13.6%(前月:+9.1%)と3ヵ月ぶりにマイナスとなったものの、戸建てが+12.0%(前月:+1.4%)と2桁の伸びとなり全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比では+5.2%(前月:+15.1%)とこちらも4ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が▲38.7%(前月:▲12.6%)と大幅なマイナスとなったものの、戸建てが+27.8%(前月:+28.1%)となり全体を押し上げた。これで戸建ての2桁の伸びは6カ月連続となった。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲3.6%ポイント(前月:+5.2%ポイント)とマイナスに転じたものの、中西部が+3.9%ポイント(前月:▲1.2%ポイント)、南部が+2.9%ポイント(前月:▲2.5%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、西部が+2.7%ポイント(前月:+1.7%ポイント)と6カ月連続でプラスを維持した。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+4.5%(前月:+5.9%)と2ヵ月連続のプラスとなった(図表5)。集合住宅が▲3.0%(前月:+19.7%)と前月の反動もあってマイナスに転じた一方、戸建てが+7.8%(前月:+0.8%)と前月から伸びが加速して全体を押し上げた(図表6)。

前年同月比は+17.3%(前月:+8.3%)と6ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が▲6.6%(前月:▲13.4%)と20年2月以来のマイナスが続く一方、戸建てが+30.4%(前月:+21.6%)と6ヵ月連続で2桁のプラスとなり全体を押し上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で12月がそれぞれ+52.7%(9月:+210.5%)、+38.7%(9月:+162.0%)と3桁の伸びとなった9月からは鈍化したものの、戸建ての好調もあって、着工、許可件数ともに依然として高い伸びを維持している(図表7)。

このため、GDPにおける住宅投資は7-9月期の前期比年率+63.0%からは鈍化が見込まれるものの、10-12月も2桁の大幅な伸びを維持する可能性が高い
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2021年01月22日「経済・金融フラッシュ」)

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