2021年01月19日

年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~働き方編-若いほどテレワークに積極的な一方、現場業務の負担も 

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • 20~59歳の正規雇用者全体では、コロナ禍で会食や対面会議、出張などのリアル行動では減少層が目立つ一方、在宅勤務などのテレワークは増加層が目立つ。なお、出社でも減少層が増加層を上回るが、変わらないが約6割を占める。また、テレワークは医療や運輸、小売業など在宅勤務の難しい業種をはじめ約半数が利用していない。
     
  • 6月と9月を比べると、感染拡大の状況が一旦落ち着き、経済活動が再開されるとともに、出社や出張控えが低減され、働き方は徐々に元に戻ろうとする一方、テレワークでは増加層は同水準が維持されており、一定程度、定着している様子がうかがえる。
     
  • 年代別に見ると、テレワークの利用は、デジタルネイティブ世代の多い若者ほど積極的である一方、社会人になってからパソコンなどを学習してきたデジタルイミグラント世代の多い高年齢ほど消極的である。
     
  • 一方、建設業や製造業などでは、若いほど出社が増え、在宅勤務が減る状況もあり、経済活動の再開以降、管理職の少ない若い年代で現場業務の負荷が増している可能性がある。また、在宅勤務が可能であっても、企業文化によっては、業務における自己裁量の幅の狭い若者では在宅勤務がしにくい雰囲気もあるのかもしれない。
     
  • コロナ禍がなくとも、近年、社会情勢や消費行動が目まぐるしく変容する中で、企業活動のデジタル化は急務だ。しかし、組織で意思決定を担う経営者や管理職層の大多数は、テレワークにも消極的なデジタルイミグラント世代が多い。周回遅れとも言われる日本社会のデジタル対応を進めるには、社会を牽引する世代の意識改革が必要だ。


■目次

1――コロナ禍における働き方の変容~年代別の特徴は?
  1|全体の状況
   ~経済活動の再開とともに働き方は元に戻ろうとする一方、テレワークも一定程度定着
  2|年代別の状況
   ~若いほどテレワークに積極的だが、現場業務の負担で出社なども多い
2――まとめ~日本社会のデジタル化の進展にはデジタルイミグラント世代の意識改革が必要
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
     2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
     2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
     2021年7月より現職

    ・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
    ・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
    ・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
    ・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
    ・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
    ・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
    ・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
    ・総務省「統計委員会」委員(2023年~)

    【加入団体等】
     日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
     生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society

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レポート紹介

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