2020年12月18日

コロナ禍における生活の変化(2)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活不安の変化と地域間較差

生活研究部 主任研究員   井上 智紀

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1――はじめに

先日公表した拙稿1では、弊社が6月、9月に実施した「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査2」から、生活実態と生活時間の変化について地域別に分析した結果を示した。本稿では引き続き同調査を用い、各調査時点である6月末、9月末および収束後の生活に対する不安として、感染不安、経済不安、働き方不安、家族関係不安と人間関係不安、行動不安のそれぞれについて、地域ごとに各時点の状況および時点間の変化を概観していく。
 
1 井上智紀(2020)「コロナ禍における生活の変化(1)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活行動の変化と地域間較差」『基礎研レター』(2020/12/16)
2 調査概要等、調査の詳細は弊社サイト内の特設ページを参照されたい。

 

2――感染不安

2――感染不安

コロナ禍での感染に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「感染が懸念されても適切な検査が受けられない」が中国で高く、「自分や家族の感染による世間からの偏見や中傷」は東北、北関東、甲信越、四国で、「自分や家族の感染による人間関係への悪影響」は北関東、甲信越、中国、四国で高い。第2回調査を実施した9月時点では、「感染が懸念されても適切な検査が受けられない」は愛知県で、「感染しても適切な治療が受けられない」は南九州で高く、「自分や家族の感染による世間からの偏見や中傷」は甲信越、北陸、東海で、「自分や家族の感染による人間関係への悪影響」は甲信越、東海および愛知県、南九州で高くなっている。

6月から9月にかけての変化では「自分や家族の感染による健康状態の悪化」がほとんどの地域で上昇しているほか、「自分や家族の感染による世間からの偏見や中傷」、「自分や家族の感染による人間関係への悪影響」も甲信越、北陸、東海および愛知県、近畿および大阪府、南九州で上昇している。一方、「感染が懸念されても適切な検査が受けられない」「感染しても適切な治療が受けられない」では横ばいまたは減少の地域の方が多く、上昇している地域は「感染が懸念されても適切な検査が受けられない」では東北、東海および愛知県、四国、南九州、「感染しても適切な治療が受けられない」では北関東、愛知県、南九州のみとなっている。

なお、収束後では、「自分や家族の感染による健康状態の悪化」は甲信越で、「自分や家族の感染による世間からの偏見や中傷」は東北、甲信越、北陸、東海で、「自分や家族の感染による人間関係への悪影響」は甲信越、中国で、それぞれ高くなっている。9月との対比ではほとんどの項目、地域で減少ないし横ばいとなっているものの、「自分や家族の感染による世間からの偏見や中傷」は東北、中国で9月よりも上昇する結果となっている。
図表1 感染不安

3――経済不安

3――経済不安

コロナ禍で経済に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「世界経済が悪化し、世界大恐慌に陥る」、「日本経済が悪化し、企業業績や雇用環境が悪化」は甲信越、北陸で、「東京五輪が開催されず、日本経済がさらに悪化」は甲信越、北陸、四国で、「勤務先の業績悪化による収入減少、雇用の不安定化」は東北、北関東、甲信越、北陸で、「自分や家族の収入減少」は東北、甲信越で、「自分や家族が仕事を失う」は北関東、甲信越、北陸で、それぞれ高くなっている。また、第2回調査を実施した9月時点では、「世界経済が悪化し、世界大恐慌に陥る」は甲信越、北陸、愛知県、北九州で、「日本経済が悪化し、企業業績や雇用環境が悪化」は甲信越、愛知県で、「東京五輪が開催されず、日本経済がさらに悪化」は北陸、愛知県で、「勤務先の業績悪化による収入減少、雇用の不安定化」は甲信越、愛知県、中国で、「自分や家族の収入減少」は甲信越、北陸、東海および愛知県で、「自分や家族が仕事を失う」は甲信越、北陸、東海で、それぞれ高くなっている。

6月から9月にかけての変化では、多くの項目、地域で減少ないし横ばいの状態にあるものの、「世界経済が悪化し、世界大恐慌に陥る」は北九州、南九州で、「日本経済が悪化し、企業業績や雇用環境が悪化」は愛知県、南九州で、「東京五輪が開催されず、日本経済がさらに悪化」は北九州で、「勤務先の業績悪化による収入減少、雇用の不安定化」は甲信越、近畿および大阪府、北九州で、「自分や家族の収入減少」は北陸、愛知県、北九州で、「自分や家族が仕事を失う」は甲信越、愛知県、近畿および大阪府で、それぞれ上昇している。

なお、収束後では、「世界経済が悪化し、世界大恐慌に陥る」は甲信越、北九州で、「日本経済が悪化し、企業業績や雇用環境が悪化」は甲信越、北陸、愛知県で、「東京五輪が開催されず、日本経済がさらに悪化」は東海および愛知県、四国で、「自分や家族の収入減少」は東北、甲信越、北陸、愛知県、近畿およびお大阪府で、「自分や家族が仕事を失う」は甲信越で高くなっている。9月との対比ではほとんどの項目、地域で減少ないし横ばいとなっているものの、「日本経済が悪化し、企業業績や雇用環境が悪化」は東北で、「東京五輪が開催されず、日本経済がさらに悪化」は北海道、中国で、「勤務先の業績悪化による収入減少、雇用の不安定化」は北海道で、「自分や家族の収入減少」は北海道、東北、中国で、「自分や家族が仕事を失う」は北海道、北九州で、それぞれ上昇している。
図表2 経済不安

4――働き方不安

4――働き方不安

コロナ禍での働き方に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「在宅勤務が増え、労働時間が長くなる」、「在宅勤務が増え、集中力やモチベーションが低下する」、「在宅勤務が増え、コミュニケーションが取りにくくなる」、「在宅勤務が増え、残業代が減る」のいずれも東京都で高く、「在宅勤務が増え、集中力やモチベーションが低下する」は愛知県でも高い。また、「在宅勤務が増え、時間管理型から成果主義へ変わる」、「在宅勤務ができる仕事ではないため、継続しにくくなる」は中国で高く、「在宅勤務ができる仕事ではないため、継続しにくくなる」は北陸でも高くなっている。また、第2回調査を実施した9月時点では、「在宅勤務が増え、集中力やモチベーションが低下する」、「在宅勤務が増え、コミュニケーションが取りにくくなる」は東京都で高く、「在宅勤務が増え、時間管理型から成果主義へ変わる」は北関東、中国で、「在宅勤務ができる仕事ではないため、継続しにくくなる」は甲信越で高くなっている。6月から9月にかけての変化では、「在宅勤務が増え、労働時間が長くなる」は東京都で唯一、「在宅勤務が増え、残業代が減る」は東京都、東海および愛知県、北九州、南九州で、それぞれ減少し、その他地域では上昇している。また、「在宅勤務が増え、集中力やモチベーションが低下する」は東北、甲信越、大阪府、北九州で上昇する一方、愛知県では減少、「在宅勤務が増え、コミュニケーションが取りにくくなる」は北関東、甲信越、近畿および大阪府、南九州で上昇、「在宅勤務が増え、時間管理型から成果主義へ変わる」は北海道、北関東、近畿および大阪府、北九州で上昇、南関東および東京都、愛知県で減少、「在宅勤務ができる仕事ではないため、継続しにくくなる」は甲信越、大阪府、北九州、南九州で上昇、北海道、南関東および東京都、中国で減少と、地域によって方向性が異なり一貫した傾向がみられない。

なお、収束後では、「在宅勤務が増え、集中力やモチベーションが低下する」は東京都で、「在宅勤務が増え、残業代が減る」は中国で、「在宅勤務が増え、時間管理型から成果主義へ変わる」は北関東で、「在宅勤務ができる仕事ではないため、継続しにくくなる」は東北、甲信越で、それぞれ高くなっている。9月との対比では項目によらず多くの地域で減少ないし横ばいとなっているものの、「在宅勤務が増え、労働時間が長くなる」では東北で、「在宅勤務が増え、集中力やモチベーションが低下する」では東京都、愛知県、南九州で、「在宅勤務が増え、コミュニケーションが取りにくくなる」では北関東で、「在宅勤務が増え、残業代が減る」では北関東、甲信越、中国、北九州で、「在宅勤務が増え、時間管理型から成果主義へ変わる」では甲信越、南九州で、「在宅勤務ができる仕事ではないため、継続しにくくなる」では東北で、それぞれ上昇している。
図表3 働き方不安
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井上 智紀 (いのうえ ともき)

研究・専門分野
消費者行動、金融マーケティング、ダイレクトマーケティング、少子高齢社会、社会保障

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