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クリエイティブオフィスのすすめ-創造的オフィスづくりの共通点
社会研究部 上席研究員 百嶋 徹
筆者は、『ニッセイ基礎研REPORT』2011年8月号にて、「グローバル競争が激化する下で、従業員の創造性を企業競争力の源泉と認識し、それを最大限に引き出し、イノベーション創出につなげていくためのオフィス戦略の重要性が高まっている」と指摘した。
従業員の創造性や創意工夫は、本業に関わるバリューチェーンの各段階の業務(研究開発(R & D)、調達・購買、製造、物流、販売・マーケティング等)や本社間接業務(経理・財務、人事、IT、不動産管理等)といった、あらゆる業務工程において、競争力の源泉となりうる。このため、従業員の能力や創造性を引き出すための創造的なオフィスづくり、すなわち「クリエイティブオフィス」の構築・運用の考え方は、研究拠点、本社、営業拠点、工場や物流拠点の事務棟などあらゆるタイプのワークプレイスにとって重要だが、とりわけ新製品・新事業や新技術の創出という、知識集約度の最も高い業務を担う研究拠点において重要性が高い。
一方、我が国では国を挙げて「働き方改革」に取り組まれているところだが、これまでのところ、その本質である「従業員の生産性向上」に向けたサポートや施策がないまま、従業員にオフィス内での単なる時短の徹底を強いている企業が多いのではないだろうか。経営トップは、クリエイティブオフィスを働き方改革推進のための有効なツールとして活用すべきであり、「働き方改革=従業員の生産性向上」の視点からも、オフィス戦略の重要性が高まっている、と筆者は考えている。
本稿では、「CRE(企業不動産:Corporate Real Estate)戦略」としてのオフィス戦略について概説した上で、企業がクリエイティブオフィスの構築・運用において実践すべき、考え方や在り方・原理原則について考えてみたい。
■目次
1――はじめに
2――CRE戦略としてのオフィス戦略
1|CRE戦略の企業経営における位置付けと役割
2|CRE戦略実践のための「三種の神器」
3|オフィス環境の企業価値への作用経路
3――創造的なオフィスづくりの共通点~クリエイティブオフィスの基本モデル
1|オフィスをコミュニティやエコシステムととらえる大原則
2|企業内ソーシャル・キャピタルを育む視点
3|多様な働き方など多様性を尊重する視点
4|環境配慮など地域コミュニティと共生する視点
5|従業員の安全やBCP(事業継続計画)など安全性に配慮する視点
6|「健康経営」を実践する視点(従業員の心身の健康への配慮)
4――メガプレートを備えた大規模ビルへの戦略的移転・集約
5――不動産の所有・賃借の選択
1|企業財務との整合性が取られている限り所有・賃借の選択は大きな問題にならず
2|アセットタイプにより所有・賃借の選択の際に重視される要因が異なる
6――組織スラックを備えた経営の実践
1|オフィスづくりの創意工夫を競い合う時代に
2|組織スラックとしての創造的オフィス環境の重要性
7――魂を注入した創造的なオフィスづくりが急務
1|基本モデルに注入すべき魂はワークスタイル変革と経営理念
2|基本モデルを各社仕様にカスタマイズして起動させるプロセスが重要
(2018年03月14日「基礎研レポート」)
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社会研究部 上席研究員
百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)
研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営
03-3512-1797
- 【職歴】
1985年 株式会社野村総合研究所入社
1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
2001年 社会研究部門
2013年7月より現職
・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)
【受賞】
・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
(1994年発表)
・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)
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