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- 中国の生命保険市場(2016年版)基礎データ-【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(29)
2017年12月19日
1-市場概況
一方、2016年は、保険市場の健全化に大きく舵を切った1年でもあった。2015年後半から、一部の中堅生保がネットなどを通じて、高い利回りを謳ったユニバーサル保険を大量に販売した。その背景には、2015年に利下げが5回と相次ぎ、理財商品、オンライン金融商品の利回りが低下したことから、保険への乗り換えが多く発生したことにある。問題を大きくしたのは、一部の保険会社による利回り確保を目的とした、上場企業の株式の大量買い付けなどの強引な株式取引が、株価の一時的な乱高下を誘引し、市場関係者からの反発を招く事態に発展した点にある。保険会社においても、運用についての規制違反、資産と負債のデュレーションのミスマッチによる流動性リスクの増加など多くの問題が露見した。
2016年後半からは、主務官庁の保険監督管理委員会(保監会)が高キャッシュバリューの商品の販売総量規制を強化し、行過ぎた販売をした保険会社に対して行政処分を下している。また、保障性商品の販売の奨励や、資産運用、リスク管理、ソルベンシーといったあらゆる側面から規制を強化し、市場の健全化をはかった。その結果、2017年上半期時点では、2017年の(ユニバーサル保険を除く)保険料収入は半年で年間収入に迫る勢いで増加し、ユニバーサル保険へのキャッシュインの規模も減少したため、動きが沈静化した(図表2)。
2016年後半からは、主務官庁の保険監督管理委員会(保監会)が高キャッシュバリューの商品の販売総量規制を強化し、行過ぎた販売をした保険会社に対して行政処分を下している。また、保障性商品の販売の奨励や、資産運用、リスク管理、ソルベンシーといったあらゆる側面から規制を強化し、市場の健全化をはかった。その結果、2017年上半期時点では、2017年の(ユニバーサル保険を除く)保険料収入は半年で年間収入に迫る勢いで増加し、ユニバーサル保険へのキャッシュインの規模も減少したため、動きが沈静化した(図表2)。
1 1元=16.8円で換算
2-商品構成
2016年の商品構成(収入保険料ベース)は、無配当保険が前年より5.8ポイント増加し、全体の48.2%と最も多くを占めた(図表3)。一方、有配当保険は前年比8.8ポイント減少し、31.7%まで低下した。2013年後半の無配当保険の予定利率の上限緩和措置によって、わずか3年間ほどで有配当保険の構成比は半減した。
一方、健康保険・傷害保険の構成比は前年から3.1ポイント増加して19.6%を占めた。医療保険は、2014年以降、年間2,400元を上限とした所得控除が導入されている。また、2016年は医療専門の保険会社によるユニバーサル保険を運用特約として付帯した介護保険の販売も積極的に行われた点も奏功したと考えられる。
一方、健康保険・傷害保険の構成比は前年から3.1ポイント増加して19.6%を占めた。医療保険は、2014年以降、年間2,400元を上限とした所得控除が導入されている。また、2016年は医療専門の保険会社によるユニバーサル保険を運用特約として付帯した介護保険の販売も積極的に行われた点も奏功したと考えられる。
保険の種類別でみると、収入保険料ベースで最も増加したのは、健康保険(前年比67.7%増)であった。次いで無配当保険(前年比55.3%増)となっており、有配当保険については前年比7.3%増にとどまった(図表4)。
2016年の生保収入保険料(健康保険、傷害保険を含む)のうち、64%が新契約の保険料となっており、2011年以降最も多くを占めた。新契約のうち、30.7%が平準払契約の初年度保険料となった(図表5)。平準払契約のうち、期間10年以上の契約が全体の52%と最も多くを占めたが、前年より11.2ポイント減少した。一方、期間が4~5年の契約は前年より13.2ポイント上昇するなど、相対的に期間の短い契約が増加した。
2016年の生保収入保険料(健康保険、傷害保険を含む)のうち、64%が新契約の保険料となっており、2011年以降最も多くを占めた。新契約のうち、30.7%が平準払契約の初年度保険料となった(図表5)。平準払契約のうち、期間10年以上の契約が全体の52%と最も多くを占めたが、前年より11.2ポイント減少した。一方、期間が4~5年の契約は前年より13.2ポイント上昇するなど、相対的に期間の短い契約が増加した。
3-販売チャネル構成
(2017年12月19日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019~2020年度・2023年度~)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員教授(2024年度~)
・千葉大学客員准教授(2023年度) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
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