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- 2017年1-3月期の実質GDP~前期比0.4%(年率1.4%)を予測
2017年04月28日
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●1-3月期は年率1.4%を予測~内外需揃ったプラス成長
2017年1-3月期の実質GDPは、前期比0.4%(前期比年率1.4%)と5四半期連続のプラス成長になったと推計される。
外需が3四半期連続で成長率を押し上げたことに加え、民間消費が前期比0.4%と高めの伸びとなったことなどから、ゼロ%台後半とされる潜在成長率を上回る成長になったとみられる。
その他の需要項目では、設備投資は前期比▲0.4%の減少となったが、住宅投資が前期比0.3%と小幅ながら5四半期連続で増加したほか、2016年度補正予算の効果から公的固定資本形成が前期比0.6%と3四半期ぶりの増加となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要0.3%(うち民需0.2%、公需0.0%)、外需が0.1%と予測する。
名目GDPは前期比0.0%(前期比年率0.1%)と5四半期連続で増加するが、実質の伸びは大きく下回るだろう。GDPデフレーターは前年比▲0.7%(10-12月期:同▲0.1%)、前期比▲0.3%(10-12月期:同0.1%)と予測する。国内需要デフレーターは前期比0.2%(10-12月期:同0.1%)の上昇となったが、円安の影響などから輸入デフレーターが前期比6.8%の大幅上昇となり、輸出デフレーターの伸び(同3.4%)を上回ったことがGDPデフレーターを押し下げた。
なお、5/18に内閣府から2017年1-3月期のGDP速報値が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、民間消費、外需の上方修正を主因として2016年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率1.2%から同1.6%へと上方修正されると予測している。
この結果、2016年度の実質GDP成長率は1.4%、名目GDP成長率は1.2%になると見込まれる。実質成長率は2015年度の1.3%とほぼ同じだが、内訳をみると2015年度は民間在庫変動が成長率を0.3%ポイント押し上げたのに対し、2016年度は▲0.3%ポイントの押し下げとなりそうだ。当研究所の1-3月期の予測に基づけば、在庫変動(民間+公的)を除いた最終需要の伸びは2015年度の前年比1.0%から2016年度は1.7%へと高まる。景気の実勢は見かけの成長率以上に強くなっている。
日本経済は1年以上にわたって潜在成長率を上回る成長を続けている。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年1-3月期は民間消費が高めの伸びとなったことから内需の伸びが高まり、内外需のバランスが取れた成長となった。先行きについても、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くことに加え、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しが見込めることなどから、景気は堅調な推移が続くことが予想される。ただし、名目賃金が伸び悩んでいるため、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しするリスクには注意が必要だろう。
外需が3四半期連続で成長率を押し上げたことに加え、民間消費が前期比0.4%と高めの伸びとなったことなどから、ゼロ%台後半とされる潜在成長率を上回る成長になったとみられる。
その他の需要項目では、設備投資は前期比▲0.4%の減少となったが、住宅投資が前期比0.3%と小幅ながら5四半期連続で増加したほか、2016年度補正予算の効果から公的固定資本形成が前期比0.6%と3四半期ぶりの増加となった。
実質GDP成長率への寄与度は、国内需要0.3%(うち民需0.2%、公需0.0%)、外需が0.1%と予測する。
名目GDPは前期比0.0%(前期比年率0.1%)と5四半期連続で増加するが、実質の伸びは大きく下回るだろう。GDPデフレーターは前年比▲0.7%(10-12月期:同▲0.1%)、前期比▲0.3%(10-12月期:同0.1%)と予測する。国内需要デフレーターは前期比0.2%(10-12月期:同0.1%)の上昇となったが、円安の影響などから輸入デフレーターが前期比6.8%の大幅上昇となり、輸出デフレーターの伸び(同3.4%)を上回ったことがGDPデフレーターを押し下げた。
なお、5/18に内閣府から2017年1-3月期のGDP速報値が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、民間消費、外需の上方修正を主因として2016年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率1.2%から同1.6%へと上方修正されると予測している。
この結果、2016年度の実質GDP成長率は1.4%、名目GDP成長率は1.2%になると見込まれる。実質成長率は2015年度の1.3%とほぼ同じだが、内訳をみると2015年度は民間在庫変動が成長率を0.3%ポイント押し上げたのに対し、2016年度は▲0.3%ポイントの押し下げとなりそうだ。当研究所の1-3月期の予測に基づけば、在庫変動(民間+公的)を除いた最終需要の伸びは2015年度の前年比1.0%から2016年度は1.7%へと高まる。景気の実勢は見かけの成長率以上に強くなっている。
日本経済は1年以上にわたって潜在成長率を上回る成長を続けている。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年1-3月期は民間消費が高めの伸びとなったことから内需の伸びが高まり、内外需のバランスが取れた成長となった。先行きについても、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くことに加え、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しが見込めることなどから、景気は堅調な推移が続くことが予想される。ただし、名目賃金が伸び悩んでいるため、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しするリスクには注意が必要だろう。
●主な需要項目の動向
・民間消費~雇用所得環境の改善を背景に持ち直しが明確に
民間消費は前期比0.4%と5四半期連続で増加し、10-12月期の同0.1%(改定見込値)から伸びが高まると予測する。
雇用所得環境の改善が続く中、2016年7-9月期(相次ぐ台風の上陸)、10-12月期(生鮮野菜の価格高騰)のように一時的な下押し要因がなかったことが消費の増加につながった。
内訳をみると、耐久消費財のストック調整の一巡を背景に自動車販売が増加を続けているほか、外食などのサービス消費も堅調を維持している。1-3月期の消費関連指標を確認すると、「鉱工業指数」の消費財出荷指数は前期比▲1.0%と4四半期ぶりの低下となったが、「商業動態統計」の小売業販売額指数(実質)が前期比0.2%と3四半期連続の上昇となったほか、低迷が続いていた「家計調査」の消費水準指数(除く住居等)も前期比0.2%と3四半期ぶりに上昇した。
民間消費は前期比0.4%と5四半期連続で増加し、10-12月期の同0.1%(改定見込値)から伸びが高まると予測する。
雇用所得環境の改善が続く中、2016年7-9月期(相次ぐ台風の上陸)、10-12月期(生鮮野菜の価格高騰)のように一時的な下押し要因がなかったことが消費の増加につながった。
内訳をみると、耐久消費財のストック調整の一巡を背景に自動車販売が増加を続けているほか、外食などのサービス消費も堅調を維持している。1-3月期の消費関連指標を確認すると、「鉱工業指数」の消費財出荷指数は前期比▲1.0%と4四半期ぶりの低下となったが、「商業動態統計」の小売業販売額指数(実質)が前期比0.2%と3四半期連続の上昇となったほか、低迷が続いていた「家計調査」の消費水準指数(除く住居等)も前期比0.2%と3四半期ぶりに上昇した。
・住宅投資~5四半期連続の増加だが、実態は弱含み
住宅投資は前期比0.3%と小幅ながら5四半期連続を予測する。
新設住宅着工戸数(季節調整済・年率換算値)は2016年4-6月期の99.1万戸をピークに7-9月期が98.0万戸、10-12月期が95.3万戸と減少が続いた後、2017年1-3月期は97.5万戸と若干持ち直した。ただし、1-3月期の着工戸数は、東京五輪の選手村宿泊施設の着工という特殊要因によって1月に大きく押し上げられており(2017年1月:100.1万戸)、その影響が剥落した2、3月は90万戸台となった。
住宅投資は前期比0.3%と小幅ながら5四半期連続を予測する。
新設住宅着工戸数(季節調整済・年率換算値)は2016年4-6月期の99.1万戸をピークに7-9月期が98.0万戸、10-12月期が95.3万戸と減少が続いた後、2017年1-3月期は97.5万戸と若干持ち直した。ただし、1-3月期の着工戸数は、東京五輪の選手村宿泊施設の着工という特殊要因によって1月に大きく押し上げられており(2017年1月:100.1万戸)、その影響が剥落した2、3月は90万戸台となった。
・民間設備投資~2四半期ぶりの減少も、持ち直しが継続
民間設備投資は前期比▲0.4%と2四半期ぶりの減少を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷(除く輸送機械)は2016年10-12月期の前期比2.3%の後、2017年1-3月期は同▲2.1%と4四半期ぶりの減少となった。機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2016年10-12月期に前期比0.3%と2四半期連続の増加となった後、2017年1、2月の平均は10-12月期を▲2.1%下回っている。
また、日銀短観2017年3月調査では、2016年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比1.0%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比7.1%(2016年3月調査の2015年度計画)を大きく下回る伸びとなった。一方、2017年度当初計画は前年度比1.7%となり、当初計画としては2012年度以来の増額計画となった。
2017年1-3月期の設備投資は2四半期ぶりの減少が予想されるが、10-12月期の高い伸びの反動もあり、持ち直しの動きが途切れてしまったわけではない。2016年前半に急速に悪化した企業収益は、海外経済の回復や円高一巡に伴い2016年後半にはすでに急速に改善している。企業収益の増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景に、設備投資は2017年度入り後には持ち直しがより明確となる可能性が高い。
民間設備投資は前期比▲0.4%と2四半期ぶりの減少を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷(除く輸送機械)は2016年10-12月期の前期比2.3%の後、2017年1-3月期は同▲2.1%と4四半期ぶりの減少となった。機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2016年10-12月期に前期比0.3%と2四半期連続の増加となった後、2017年1、2月の平均は10-12月期を▲2.1%下回っている。
また、日銀短観2017年3月調査では、2016年度の設備投資計画(含むソフトウェア、除く土地投資額)が前年度比1.0%(全規模・全産業)となり、前年同時期の前年度比7.1%(2016年3月調査の2015年度計画)を大きく下回る伸びとなった。一方、2017年度当初計画は前年度比1.7%となり、当初計画としては2012年度以来の増額計画となった。
2017年1-3月期の設備投資は2四半期ぶりの減少が予想されるが、10-12月期の高い伸びの反動もあり、持ち直しの動きが途切れてしまったわけではない。2016年前半に急速に悪化した企業収益は、海外経済の回復や円高一巡に伴い2016年後半にはすでに急速に改善している。企業収益の増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景に、設備投資は2017年度入り後には持ち直しがより明確となる可能性が高い。
(2017年04月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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