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- IMF世界経済見通し-25年の世界成長率見通しは3%に上方修正
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2025年07月30日
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1.内容の概要:見通しは再び3%まで改善
2.内容の詳細:リスクは引き続き下振れ
IMFは、今回の見通しを「世界経済:不確実性続くなか、レジリエンス(強靭性)希薄(Global Economy: Tenuous Resilience amid Persistent Uncertainty)」と題して作成した1。
IMFは前回4月の見通しを、政策の不確実性が高まっていることを受けて、通常の「ベースライン見通し」ではなく、「参照予測」として公表していた。今回公表された成長率見通しは、25年・26年ともに上方修正(25年2.8%→3.0%、26年3.0%→3.1%)された。
IMFは上方修正の要因として、関税引き上げ前の駆け込み需要、関税率想定の前回見通し時点(4月4日時点)からの低下、米ドル安などを背景にした金融情勢の改善、一部の主要国での財政拡大を反映しているとした。なお、今回の見通しについても執筆時点の関税政策が継続する前提で作成されており、実効関税率は24%から約17%に低下している。
成長率見通しを地域別に見ると(前掲図表2、図表3)、先進国と新興国・途上国の双方で上方修正された(先進国:25年1.4%→1.5%、26年1.5%→1.6%、新興国・途上国:25年3.7%→4.1%、26年3.9%→4.0%)。特に新興国・途上国の25年の修正幅が大きくなっている。
先進国のうち、米国は、民間需要の早期の冷え込みや移民減少による成長率の押し下げ要因が見られる一方で、関税率前提の低下や金融情勢の緩和が25年の成長率の押し上げ要因となっており26年も予算案(OBBBA)による追い風があり、成長率は上方修正された(25年1.8→1.9%、26年1.7→2.0%)。なお、IMFはOBBBAが30年までのGDPを平均で約0.5%押し上げる可能性があると試算している。
ユーロ圏の成長率は25年が上方修正された(25年0.8%→1.0%、26年1.2%→1.2%)。25年はアイルランドおける駆け込み効果、新規生産施設の解説による医薬品輸出の増加を反映、26年は駆け込み効果の反動が生じるが、国防費の増額による効果もあり見通しは変更されていない。
日本は25年がやや上方修正、26年がやや下方修正だった(25年0.6%→0.7%、26年0.6%→0.5%)。
新興国・途上国では、中国の成長率が大幅に上方修正された(25年4.0%→4.8%、26年4.0%→4.2%)。25年上半期の実績が好調で、1-3月期の実績だけで年間成長率を0.6%ポイント押し上げたとされる。また関税率前提の引き下げも25年および26年の成長率の押し上げ要因となった。
インドは外部環境の改善を反映して上方修正されている(25年度6.2%→6.4%、26年度6.3→6.4%)。
その他の国では、USMCA加盟で米国の輸入額も大きいカナダ(25年1.4%→1.6%、26年1.6→1.9%)やメキシコ(25年▲0.3%→0.2%、26年1.4%→1.4%)でも上方修正された。一方、ロシアは25年が大幅に下方修正された(25年1.5%→0.9%、26年0.9%→1.0%)。
IMFは前回4月の見通しを、政策の不確実性が高まっていることを受けて、通常の「ベースライン見通し」ではなく、「参照予測」として公表していた。今回公表された成長率見通しは、25年・26年ともに上方修正(25年2.8%→3.0%、26年3.0%→3.1%)された。
IMFは上方修正の要因として、関税引き上げ前の駆け込み需要、関税率想定の前回見通し時点(4月4日時点)からの低下、米ドル安などを背景にした金融情勢の改善、一部の主要国での財政拡大を反映しているとした。なお、今回の見通しについても執筆時点の関税政策が継続する前提で作成されており、実効関税率は24%から約17%に低下している。
成長率見通しを地域別に見ると(前掲図表2、図表3)、先進国と新興国・途上国の双方で上方修正された(先進国:25年1.4%→1.5%、26年1.5%→1.6%、新興国・途上国:25年3.7%→4.1%、26年3.9%→4.0%)。特に新興国・途上国の25年の修正幅が大きくなっている。
先進国のうち、米国は、民間需要の早期の冷え込みや移民減少による成長率の押し下げ要因が見られる一方で、関税率前提の低下や金融情勢の緩和が25年の成長率の押し上げ要因となっており26年も予算案(OBBBA)による追い風があり、成長率は上方修正された(25年1.8→1.9%、26年1.7→2.0%)。なお、IMFはOBBBAが30年までのGDPを平均で約0.5%押し上げる可能性があると試算している。
ユーロ圏の成長率は25年が上方修正された(25年0.8%→1.0%、26年1.2%→1.2%)。25年はアイルランドおける駆け込み効果、新規生産施設の解説による医薬品輸出の増加を反映、26年は駆け込み効果の反動が生じるが、国防費の増額による効果もあり見通しは変更されていない。
日本は25年がやや上方修正、26年がやや下方修正だった(25年0.6%→0.7%、26年0.6%→0.5%)。
新興国・途上国では、中国の成長率が大幅に上方修正された(25年4.0%→4.8%、26年4.0%→4.2%)。25年上半期の実績が好調で、1-3月期の実績だけで年間成長率を0.6%ポイント押し上げたとされる。また関税率前提の引き下げも25年および26年の成長率の押し上げ要因となった。
インドは外部環境の改善を反映して上方修正されている(25年度6.2%→6.4%、26年度6.3→6.4%)。
その他の国では、USMCA加盟で米国の輸入額も大きいカナダ(25年1.4%→1.6%、26年1.6→1.9%)やメキシコ(25年▲0.3%→0.2%、26年1.4%→1.4%)でも上方修正された。一方、ロシアは25年が大幅に下方修正された(25年1.5%→0.9%、26年0.9%→1.0%)。
国別の改訂状況を見ると、改訂見通しで公表している30か国中、25年(度)は21か国が上方修正、3か国が下方修正、残りの6か国は横ばいだった。また、25年(度)は15か国が上方修正、3か国が下方修正、12か国が横ばいであり、いずれも上方修正の国が多かった。

IMFは今回の見通しに対するリスクは前回見通しに引き続いて下向きに傾いているとした。
こうしたリスク要因のうち、IMFは下振れリスクとして「関税の引き上げや非関税措置の強化」「貿易政策の不確実性の高まり」「地政学的な緊張の高まり」「財政のぜい弱性の増加」「駆け込みの反動減」を、上振れリスクとして「貿易合意と予測可能な枠組みの確立」「構造改革の進展」を指摘している。なお、IMFスタッフは関税率が4月2日の公表時点、あるいは書簡に記載の高い関税率まで引き上げられた場合、世界成長率は0.2%ポイント低くなると試算している。
1 同日に経済顧問兼調査局長(チーフエコノミスト)のピエール・オリヴィエ・グランシャによる冒頭説明文が公表された。
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03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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