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- 米国経済の見通し-対中関税引き下げから景気後退懸念は緩和も、政策の予見可能性の低さから経済見通しは不透明
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2025年06月09日
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■要旨
- 米国の25年1-3月期の実質GDP成長率(前期比年率)は▲0.2%(前期:+2.4%)と22年1-3月期以来のマイナス成長。トランプ関税前の駆け込み需要による輸入の大幅な増加が成長率を▲4.9%ポイント押し下げたことが主な要因。
- 一連の関税政策に伴い米国の平均関税率は一時28%程度まで上昇し、消費者や企業センチメントの大幅な悪化、株価や米国債が下落するなど米景気後退リスクが大幅に上昇。
- しかしながら、5月12日に対中関税の大幅な引き下げ発表を受けて、足元で景気後退懸念は一旦緩和。ただし、関税政策をはじめトランプ政権の経済政策に対する不透明感は強く、個人消費や設備投資の重石となる見込み。今後の焦点はトランプ減税の延長を含めた財政政策の行方。
- トランプ政権の経済政策の予見可能性が低いため、経済見通しは非常に不透明。当研究所は引き続き税制改革が成長押し上げ要因となる一方、関税の引上げや移民の強制送還が成長押し下げ要因とみられ、政策全体では25年と26年ともに成長押し下げが優勢になると評価。実質GDP成長率(前年比)は25年、26年ともに+1.4%と24年の+2.8%から大幅な低下を予想。現時点では景気後退の回避がメインシナリオ。
- 金融政策は、トランプ政権の経済政策に伴う経済への影響を見極めた上で25年12月に利下げを再開。インフレ低下に伴い26年は3回の利下げを予想。
- 上記見通しのリスクはトランプ政権の予見不可能な関税政策を始めとする経済政策。
■目次
1.経済概況・見通し
(経済概況)1-3月期の成長率は22年1-3月期以来のマイナス
(経済見通し)成長率(前年比)は25年、26年ともに+1.4%を予想
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)労働市場の緩やかな減速は継続、個人消費も関税の影響から減速へ
(設備投資)不透明な経済政策運営を背景に、当面は軟調推移を予想
(住宅投資)当面は住宅ローン金利の高止まりから住宅需要も軟調推移
(政府支出)減税法案審議が本格化、上下院案に乖離があり最終的な合意内容は不透明
(貿易)25年4-6月期は前期の駆け込み需要の反動で外需の成長寄与度は大幅なプラス寄与へ
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)関税が一時的にインフレを押上げ
(金融政策)25年内は1回、26年は3回の利下げを予想
(長期金利)25年10-12月期平均が4.6%、26年10-12月期平均が4.2%と予想
1.経済概況・見通し
(経済概況)1-3月期の成長率は22年1-3月期以来のマイナス
(経済見通し)成長率(前年比)は25年、26年ともに+1.4%を予想
2.実体経済の動向
(労働市場、個人消費)労働市場の緩やかな減速は継続、個人消費も関税の影響から減速へ
(設備投資)不透明な経済政策運営を背景に、当面は軟調推移を予想
(住宅投資)当面は住宅ローン金利の高止まりから住宅需要も軟調推移
(政府支出)減税法案審議が本格化、上下院案に乖離があり最終的な合意内容は不透明
(貿易)25年4-6月期は前期の駆け込み需要の反動で外需の成長寄与度は大幅なプラス寄与へ
3.物価・金融政策・長期金利の動向
(物価)関税が一時的にインフレを押上げ
(金融政策)25年内は1回、26年は3回の利下げを予想
(長期金利)25年10-12月期平均が4.6%、26年10-12月期平均が4.2%と予想
(2025年06月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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