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2025年04月30日

トランプ政権100日の評価-関税政策などの予見可能性低下が金融市場や消費者、企業マインド、支持率の悪化要因に

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. トランプ2期目の政権が発足して4月29日で節目となる100日を迎えた。トランプ大統領は政策公約の実現に向けて就任初日から足元まで歴代大統領に比べて突出した数の大統領令に署名した。ただし、目立った立法成果は挙げていない。
     
  2. 一方、関税政策では政策公約に掲げていなかった政策について唐突に発表したほか、一度発表した政策についても短期で修正を繰り返すなど迷走しており、政策の予見可能性は大幅に低下した。
     
  3. これらの結果、金融市場が大混乱に陥っているほか、消費者や企業のセンチメントは大幅に悪化しており、米景気後退懸念が高まっている。足元で大幅な悪化を示すハードデータは発表されていないが今後の大幅な悪化は不可避の情勢である。
     
  4. 就任100日の支持率は自身の1期目を上回っているものの、戦後の歴代大統領で最も低い。また、同大統領はインフレ抑制などの経済政策への期待から再選されたものの、経済運営に対する評価は厳しくなっている。
     
  5. 景気後退懸念が高まる中、26年の中間選挙を睨んで通商政策が軌道修正されるのか、税制改革で成果を挙げられるのか今後の動向が注目される。

 
(図表1)大統領令の累計署名数(就任100日)
■目次

1.はじめに
2.トランプ政権2期目発足100日の評価
  (大統領令):歴代大統領に比べて突出した数に署名も、議会による法案成立数は低調
  (関税政策):不透明な関税政策運営に伴い、政策の予見可能性は大幅に低下
  (金融市場、消費者・企業センチメント):金融市場は混乱、センチメントは大幅悪化
  (支持率):歴代大統領の中でも低支持率、経済運営に対する評価も低下
3.中間選挙を睨んで、関税政策の軌道修正や税制改革の進展に注目

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年04月30日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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