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2025年06月19日

ロシアGDP(2025年1-3月期)-前期比成長率でマイナスに転じる

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前年比伸び率は1.4%に低下

6月18日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2025年1-3月期の前年同期比伸び率は1.4%、予想1(同1.4%)と一致、前期(同4.5%)から低下した(図表1・2)

(図表1)ロシアの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ロシアの実質GDP成長率(供給項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:前期比伸び率がマイナスに転じ、業種別にも幅広い業種でマイナス成長に

ロシアの25年1-3月期の実質GDP伸び率は前年比1.4%となり、5月16日に公表されていた予備推計値(1.4%)と一致した。季節調整系列の前期比は▲1.3%(年率換算▲5.2%)で、24年10-12月期(前期比1.6%、年率換算6.3%)からマイナスに転じた。マイナス成長はウクライナ侵攻直後で西側諸国の経済制裁に直面した22年4-6月期(前期比▲4.9%)以来となる。戦争前(21年10-12月期)と比較した実質GDPの水準は6.0%だった。

執筆時点では需要別のデータは未公表であるため、以下では産業別のデータ等を確認していく。

産業別の伸び率は、前年比で第一次産業が1.1%(前期:▲8.9%)、第二次産業が1.3%(前期:4.5%)、第三次産業(金融・不動産)が5.7%(前期:5.2%)、第三次産業(その他)が1.4%(前期:4.9%)となった。前期比では第一次産業が8.4%(前期:▲7.0%)、第二次産業が▲0.8%(前期:1.6%)、第三次産業(金融・不動産)が0.1%(前期:2.3%)、第三次産業(その他)が▲1.8%(前期:▲1.8%)となった(図表4)。25年1-3月期は第一次産業が急反発、第三次産業(金融・不動産)が概ね横ばい、第二次産業、第三次産業(その他)がマイナスに転じた。より細かい産業の伸び率では、芸術・娯楽サービス(▲24.1%)、鉱業(▲4.0%)、情報サービス(▲4.5%)、技術サービス(▲3.7%)が相対的に大きなマイナス成長を記録したほか、マイナス成長となる業種が多かった(図表3)。
(図表3)ロシアの実質GDP成長率(25年1-3月期)
ウクライナ侵攻前との比較では、戦争前までロシア経済のけん引役だった鉱業(▲8.0%)のほか、医療サービス(▲5.0%)、水道(▲4.8%)、小売・卸売サービス(▲4.3%)などがマイナス圏にとどまっている。一方、金融サービス(42.5%)、政府サービス(29.8%)、住居・飲食サービス(27.6%)といった産業の活動水準が高い。
(図表6)ロシアの実質GDP成長率 25年1-3月期の名目成長率は前年同期比8.2%(前期:12.0%)、GDPデフレータ伸び率は前年同期比6.7%(同7.2%)となり、1-3月期はデフレータがやや低下した(図表5)。

なお、直近までの動向を経済発展省が公表する月次のGDP成長率(前年比)から確認すると、25年1月3.0%、2月0.7%、3月1.1%、4月1.9%となり、4月の成長率は依然低水準ではあるものの3月からはやや反発している(図表6)。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年06月19日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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